ホーム>でぶぶの読んだ本考察>2018年1月に読んだ本(2018年2月4日更新)

でぶぶの読んだ本考察|2018年1月に!読破!した本


「でぶぶの読んだ本考察」は本サイト管理人でぶぶの小学生の読書感想文以下のテキトーな考察です!独断と偏見で読んだ本を評価(10点満点)までしちゃうよ!ちょっと辛口かもしれません・・・

※「ネタバレ」があるかもです!「ネタバレ」が絶対に嫌な方はこれ以上読み進めないように!



書名・屍人荘の殺人
作者・今村昌弘
出版社・東京創元社
評価・7点

年末の書店でやけに推されていた本。「このミステリーがすごい」で2017年度の1位を獲得、この作者のデビュー作らしいが大したものである。内容はタイトル通りでいわゆるクローズドサークルで殺人事件が起きるという王道中の王道ミステリーである。ただし、クローズドサークルの作り方(よくあるのは孤島の館、大雪の中のペンション、嵐の山荘など)が独特(滅茶苦茶とも言う)でネット上ではかなり賛否両論だった。私としてはエンタメ小説であるし、現実味をそこまで重視しているわけではないのでさほど気にならなかった。また、続きが気になり最後まで読ませる力はあったので2017年度第1位というのもとりあえずは納得である(現状1年の間に出版される本格的なミステリ小説はかなり数が限られており、争いはそこまで激しくない)。ただ、この作家デビュー作がここまで有名になってしまったため、2作目へのプレッシャーが凄いと思う、2作目、3作目とこの水準の作品を続けて出せるようならミステリ界で売れっ子作家になれるであろう。



書名・むかし僕が死んだ家
作者・東野圭吾
出版社・講談社文庫
評価・7点

確か高校生の時に読んだものを再読。文庫で300ページと中編ともいうべき作品。最近の熟練味の増した東野小説も悪くないが、ブレイク前の90年代に書かれた本作品のようなミステリ色の強い作品群も非常に好きである(宿命、変身、仮面山荘殺人事件、ある閉ざされた雪の山荘で、同級生など)。この作品はほとんどの舞台が山の中の小さな一軒家で主要登場人物も2人だけというなかなか料理の難しい素材だが、東野さんは見事に調理し短すぎも長すぎもない丁度よい中編に仕上げている。昔読んだ作品群を再読してみたくなってきた。



書名・暗闇坂の人喰いの木
作者・島田荘司
出版社・講談社文庫
評価・7点

10代の時に読んだものの再読。名探偵・御手洗潔が活躍するいわゆる御手洗モノである。1981年に発表された占星術殺人事件から始まる御手洗モノは島田荘司という作家の看板シリーズであり、いまだに時たま新作が発表される。ただし、作品の質という意味では真の御手洗モノは80年代から90年代にかけて書かれたものであろう。近年の作品は劣化が激しいと感じる(大作・星籠の海を読んだがかつてのようなカタルシスは皆無であった。また、近年の作品では御手洗潔のキャラがかつてと変わってしまったような気がする)。この「暗闇坂」は1990年という島田荘司の全盛期(又は全盛期に近い時期)に書かれた作品であり、怪奇性、御手洗の縦横無尽の活躍、ありえない謎などてんこ盛りの内容を圧倒的な筆力で書き切っている。はっきり言ってトリックは滅茶苦茶だと思うし、かなり粗い部分もあるが、それを名作に仕立て上げる豪腕を持っていた時代である、その豪腕と御手洗潔という破天荒なキャラが絶妙に混じり合った時期だったと思う(読者にとっては幸せな時期であった。個人的には御手洗モノは2000年前後を境に急速に魅力を失っていったように思う)。同じトリックを使用し、同じストーリーにしたとしても、他の作家では駄作にしかならないであろうし、今の島田荘司であれば凡作にしかならないであろう。この暗闇坂はそれほど島田荘司の圧倒的な問答無用のパワーを感じる作品なのである。



書名・エマは星の夢を見る(マンガ)
作者・高浜寛
出版社・講談社
評価・7点

新米ミシュラン調査員のエマの日常を描くマンガ。私は基本的に食い物にはこだわりがないし(てか味が分からない)、料理マンガを好んで読むわけでもない。このマンガを読んだのは作者が私の好きな高浜さん(寛だけど女性漫画家)だからだ。高浜さんは「作家」という感じでこの人にしか書けないものを書く漫画家だ。私は普段ジャンクフードやチェーン店ばかりで食べているが、このマンガは「本当においしいものを食べていないって人生を損してる感じだな」と思わせてくれた(笑)てかミシュランの権威って凄いんだなと思った。



書名・不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したのか
作者・鴻上尚史
出版社・講談社現代新書
評価・7点

最近新聞広告が出てた本。特攻兵として9回出撃したが9回とも生きて返ってきた人物を取材したノンフィクション。この本は良書だと思う。この作者の考えは、特攻隊(神風とか)に関する私の考え方に近く自分の考えを整理するのに役立った。私は特攻という作戦はダメダメで愚劣な作戦だと考えているし、こんな作成を考えた奴らや運用に積極的だった奴らはカスでボケで死んだほうがよいと思っている。こんなことを書くと「お前は左翼か?」と言われるかもしれないが、「永遠のゼロ」は好きだし、帝国海軍の十二戦艦は全部覚えているし(別に艦コレファンではない)、太平洋戦記モノを読むのは好きだ。そんな私には「命令された側」と「命令した側」を分けて考えるべきだという本書の指摘を読んだ時「そういう言い方もあるな」と感じた。そうのなのである「特攻隊」と言っても何も一括りにしなくてもよいのである、特攻作戦を考えた糞野郎もいるし、自分は死ぬ気もないくせに若者を死に駆り立てた特攻作戦の運用者もいるし、戦後何かの意図があって特攻を讃美する人たちもいる、そして自ら望んで特攻隊に志願したものもいれば、半ば強要されたりやむを得ずに特攻したものもいる。私は「命令された側」の若者たちのことは哀悼すべきだと思うし、その勇猛さや、無念さ、戦果を語り継ぐべきだと思う。ただし、特攻そのものを美化したり、特攻という作成を評価することがあってはならないと思うし、何より二度とこのようなことがあってはならないと思う。また、山本五十六が言っているように、いかに軍隊という組織であろうとも「九死一生」の命令を出すことはあり得るとしても「十死零生」の命令を出すことがあってはならないということです。



書名・水晶のピラミッド
作者・島田荘司
出版社・講談社文庫
評価・6点

再読。1991年に書かれた御手洗モノの大作(文庫本734ページ!)。現在アメリカに古代エジプトの冥府の神アヌビスが蘇ったり、地上から30メートルの高さの塔の密室で男が海水で溺死するなど「どう論理的な収拾つけんだよっ?」って感じで色々滅茶苦茶。御手洗モノなのに400ページを超えるまで御手洗潔が出てこないし・・・。最初の400ページは現代アメリカパート(事件が起こるパート。前述のアヌビスとか溺死とか)、古代エジプトパート、タイタニック号パートが交互に挿入されるという謎の展開。はっきり言ってある程度の論理性が求められるミステリー小説としては破綻しているように思うが(最後の真相はこんだけ引っ張ってあれで良いのか?)、島田荘司の全盛期の筆力をもってして書かれた物語であるため、物語としてはかなり面白い。わけのわからん事件の物語も、古代エジプトの純愛物語も、映画タイタニックを想起させる物語も全て興味深く読ませるのである。こんな訳の分からん大風呂敷ストーリーを一定レベル以上のエンタテイメントに仕上げた島田荘司恐るべしである。そして、何より我らの御手洗潔はキレッキレッである。キレまくりの御手洗潔と本作が一番輝いている松崎レオナ(暗闇坂の人喰いの木で初登場。御手洗シリーズの準レギュラーキャラ。かなりの問題児だが登場する作品の中では本作が一番魅力的に描かれていると思う)を楽しめる一冊である。「ホモなの?あなたたち、そういう関係なの?」by松崎レオナ



書名・冷蔵庫を抱きしめて
作者・荻原浩
出版社・新潮文庫
評価・6点

実力派作家荻原さんのハートフル短編集。DV同棲彼氏との戦いのために密かにボクシングスクールに通う女性の話などクスッと笑えるいいお話が多い。ホラーとか訳の分からんミステリー(島田荘司など)とかばっかり読んでる中でこんな本を読むと少しホッとする。



書名・眩暈
作者・島田荘司
出版社・講談社文庫
評価・6点

再読。1992年に書かれた御手洗モノの大作(文庫本707ページ!)。鎌倉の稲村ヶ崎のマンションに住む青年が書き残した以下のような日記の内容に御手洗潔が挑む。
・稲村ヶ崎のマンションから出ると核戦争後の荒涼とした世界が・・・
・焦げたように真っ黒な皮膚の男が謎の数字を呟く
・マンションのエントランスに土俵があってそこで相撲が行われている
・体は人間だが、顔はウサギ・ネズミ・豚・キツネなどの輩たちが輪になって踊り出す
・青年は恐竜に腕を食いちぎられる(でも大してダメージなし)
・太陽が死に闇の世界に・・・
・青年は男の死体と女の死体を合成して両性具有者を作る
・その両性具有者が蘇る。そして青年はその両性具有者にチューされる
御手洗潔が、狂人が書いたとしか思えないこの日記の内容を、現実世界で現実に起こったことだということを解き明かす破天荒な内容である。さすが乗りに乗っている時期(調子に乗っている時期)の島田荘司だけあって読ませるし、上記のわけのわからん内容に論理的な結論をつけるのは流石だ(まぁ結論から先に考えているのだろうが・・・)。だが何分長すぎる・・・分量を3分の2程度に抑えることができれば更なる名作になったのではなかろうか。最近は御手洗シリーズを再読しているがさすがに疲れてきた・・・順番からいけば次は文庫の癖にレンガのようなぶっとさ(1000ページくらいある。上下に分けろよ!割れちゃうぞ!)の「アトポス」であるが気が滅入るぜ・・・。



書名・アトポス
作者・島田荘司
出版社・講談社文庫
評価・6点

再読。1993年に書かれた御手洗モノ(何と怒濤の970ページ!)まず最初の200ページが本編とほとんど関係ないハンガリーの女城主エリザベートの物語、自身の美貌を保つため若い処女を拉致って城に監禁・殺害し、その血を飲んだり、その血を体に塗りたくるという気が滅入るようなお話がのっけから続いていくのだが、これがなかなか読ませる(本編よりおもろいかも・・・)。それが終わると舞台が現代のハリウッドに移って本編開始、赤児が次々に誘拐・殺害され血が吸われたり、ホラー作家の首が切断されたり、その犯人が血で爛れた顔の怪物だったりで相変わらず滅茶苦茶(笑)その後舞台は死海のほとりに移って、地上数十メートルの場所に人が刺さったり、血が吸われて干涸らびた死体が発見されたり、レオナ(シリーズキャラ)が血で爛れた怪物の集団に囲まれたりとさらに滅茶苦茶(笑)「大風呂敷広げんのいつ終わんねん!」と思っていたら750ページを超えてやっと我らが御手洗潔が登場、その後は怒濤の解決編である(笑)それにしても主人公750ページまで出さないのってええんか?なお、物語の整合性やバランスなどお構いなしで島田荘司の趣味?が詰め込まれまくっており全体のバランスは非常に悪い。しかし、島田荘司の力技で物語が結合され何とか収束するという相変わらずのパターンである(この人アホなのか天才なのかよく分からん)。ちなみに石岡くんが出てこないので御手洗シリーズを読んだという気がしないのが欠点である。 アトポスをもって御手洗シリーズの中期大作四作を15年ぶりくらいに読了したが、記憶以上に「大風呂敷広げすぎ」「トリックが結構滅茶苦茶」「圧倒的な筆力・パワー」という印象だった。まぁとりあえず「島田荘司は凄いんやな」と改めて思った(笑)



書名・ロマンス暴風域(マンガ)
作者・鳥飼茜
出版社・扶桑社
評価・6点

ゲス情報誌スパに連載されているのを読んで、何となく気になり購入。30代独身非常勤講師の佐藤(さえないが絶望的にもてないというほどでもないありがちな30男)が風俗の女と付き合うというビミョーなストーリー。この話が素晴らしいというよりこの漫画家が何となく気に入ったので、他の作品も読んでみようかと思う。