ホーム>でぶぶの読んだ本考察>2018年7月に読んだ本(2018年8月10日更新)

でぶぶの読んだ本考察|2018年7月に!読破!した本


「でぶぶの読んだ本考察」は本サイト管理人でぶぶの小学生の読書感想文以下のテキトーな考察です!独断と偏見で読んだ本を評価(10点満点)までしちゃうよ!ちょっと辛口かもしれません・・・

※「ネタバレ」があるかもです!「ネタバレ」が絶対に嫌な方はこれ以上読み進めないように!



書名・島津義弘伝 上下
作者・天野純希
出版社・ハルキ文庫
評価・5点

島津家久を書いた「破天の剣」の続編的作品。豊臣家による九州征伐後の島津の苦難の時代が舞台ゆえに全体的に暗いトーンである。よって勇猛果敢な薩摩兵のスカッとした戦いが読みたいぜ!って人向きではない。確かにシセンの戦いや関ヶ原など島津義弘が大活躍した戦いも出てくるが全体的には謀略・暗殺のオンパレード(笑)なお、すごく面白いわけではないが、天野さんの作品は非常に読みやすいと思う。マイナーな武将を取り上げたものであればまた買うと思う(島津義弘は結構メジャーだけどね・・・)。



書名・劉裕 豪剣の皇帝
作者・小前亮
出版社・講談社
評価・5点

おお・・小前さん、またこんなにマニアックな題材を・・・。まさか劉裕の小説が講談社からハードカバーで出るとは・・・。ほとんどの日本人が知らない劉裕さんとは、南北朝時代(三国志の後くらいで小国が乱立する超戦国時代)の劉宋という国の初代皇帝さんである。この小説はタイトル通り、劉裕さんの無名時代から一国の皇帝になるまでの一代記である。相変わらず人物描写にはそれほど深みはないし、滅茶苦茶面白いというわけでもないのだが、取り上げる題材が唯一無二すぎるので、中国史好きの私は小前氏の本をハードカバーで購入するのである。次は南宋の孟キョウか明の于謙とかやってくれんかなぁ・・・。



書名・摩天楼の怪人
作者・島田荘司
出版社・創元推理文庫
評価・8点

1969年のマンハッタン、20代の若き御手洗潔が一棟の高層アパートでかつて、そして現在に連続して起きる怪事件に挑む。オペラ座の怪人へのオマージュ的作品でもある。「書かれたのが2005年(島田氏の筆力が落ちてる)」「舞台がアメリカなので登場人物が御手洗以外全員アメリカ人(名前覚えられない)」「長い(700ページ弱)」と(私的に)悪い要素が集中していたため敬遠していた作品だったのだが読んでびっくりした。「不可解すぎる謎」「強引な解決」「もはや現実的かどうかなどどうでもよい」「筆力でねじふせる」など古き良き時代の島田荘司が満載な作品であった。特に最後の解決編などもう滅茶苦茶(笑)なのだが、一種の幻想的な美しさが感じられ読後に「いい小説を読んだな」という満足感を覚えたほどである。なお、帯には「本格ミステリ」と書いてあるけど「ケレン味たっぷりの島田小説」というのが正解であろう。



書名・女性政治家の通信簿
作者・古谷経衡
出版社・小学館新書
評価・7点

古谷さんの主観による女性政治家名鑑である。小池百合子、稲田朋美、野田聖子、レンポウ、辻元清美、山尾志桜里など29人の女性政治家をぶった切る(選挙力・政策力・ルックス・政治経験・保守支持層をそれぞれ5段階評価!)。作者の好みがモロに反映されているのだが、非常に読みやすく楽しく読めた。政治をエンタテイメント的に楽しめるこのような本やサイトが増えれば多少は若者が政治に興味を持つのかなと思う。



書名・日本人のための軍事学
作者・橋爪大三郎・折木良一
出版社・角川新書
評価・5点

博学な橋爪さんと元自衛隊幹部の折木さんの対談本。軍事学の基礎・リアルな安全保障について・東アジア軍事情勢の行方などについて語られる。興味深い内容だったが、非常に真面目で少々肩が凝った(笑)「安全保障とは、可能世界をありありと思い浮かべつつ、そのなかで最善の選択をし続けることである。可能世界を見る力がなければ、安全保障を考えることはできない」というわけで可能世界を見るための基礎知識を学べる本である。



書名・写楽 閉じた国の幻
作者・島田荘司
出版社・新潮文庫
評価・6点

世界的な知名度を誇る浮世絵師・写楽。彼は江戸時代をたった10ヶ月だけ生きた。その前もその後も彼が何者だったのか、誰も知らない。残った謎が今解き明かされる。という感じの内容。御手洗モノではないが、壮大な構想のもとに書かれた作品である。私は浮世絵などに興味がなく写楽も名前くらいしか知らないし、思い浮かぶ絵も「奴江戸兵衛」くらいである。しかし、専門家でなくミステリー作家の島田が素人の視点から写楽の謎を突き詰めていく時、写楽の正体に関する大胆な仮説が現れる。島田の他の小説同様かなり突拍子もない内容なのだが、彼の推理の大胆さゆえか彼の筆力のゆえかかなり納得させられてしまう。上下巻あわせて900ページ以上で内容的には収拾がついていない部分も多いが(特に現代パートが伏線を回収しきれていない)、一気に読ませる島田の腕前は流石である。



書名・恋するソマリア
作者・高野秀行
出版社・集英社文庫
評価・6点

話題作「謎の独立国家ソマリランド」の続編的ノンフィクション。ソマリアにすっかりはまってしまった高野先生がまたもソマリアに沈没。もうええ歳なのにどんどんソマリアに染まっていく姿は圧巻である(一体何が彼をこれほどソマリアに駆り立てるのか・・・いや本文では説明してんだけどね、常人には理解しがたいのである)。また、便秘カチカチうんこのシーンは爆笑である(汚いけど)。ソマリアという日本人にとって超興味が湧かなさそうな素材をとりあえずは楽しく読めるノンフィクションにする高野先生の筆力・行動力には脱帽である。



書名・夏の情婦
作者・佐藤正午
出版社・小学館文庫
評価・5点

短編集。小説巧者の描くどうしようもない(まあまあ若い)男女の恋愛のお話たちである。5編収録されている。