ホーム>でぶぶの読んだ本考察>2019年11月に読んだ本(2019年12月12日更新)

でぶぶの読んだ本考察|2019年11月に!読破!した本


「でぶぶの読んだ本考察」は本サイト管理人でぶぶの小学生の読書感想文以下のテキトーな考察です!独断と偏見で読んだ本を評価(10点満点)までしちゃうよ!ちょっと辛口かもしれません・・・

※「ネタバレ」があるかもです!「ネタバレ」が絶対に嫌な方はこれ以上読み進めないように!



書名・壁の男
作者・貫井徳郎
出版社・文春文庫
評価・7点

北関東の田舎町で民家の壁に原色で描かれた稚拙な絵がネットで話題になる。ライターの「私」は絵を描いた男・伊刈(普通の中年男・塾講師)にインタビューを試みるが伊刈は寡黙でほとんど語らない・・・・。彼は何故稚拙な絵を描くのか、周辺の人間は何故彼の稚拙な絵を受け入れるのか、何故彼の描く稚拙は絵は人々を引きつけるのか、全ての謎が明かされる時におとずれる何とも言えない読後感・・・。民家の壁に絵を描く男という題材をここまでの作品に仕上げた貫井さんは「見事」の一言。個人的には最近「ハズレ」の多かった貫井作品においては久々の良作である。それにしても文春文庫の「貫井作品良作率」は高いな・・・。



書名・錨を上げよ(全4巻)
作者・百田尚樹
出版社・幻冬舎文庫
評価・7点

物議かもしまくり作家百田さんの自伝的小説(と言っても半分以上はフィクションだと思うが・・・)。大阪の下町に生まれた作田又三の激動の半生(0歳から30歳くらい)を描く大河小説(作者は悪漢小説とも言っているが)。はちゃめちゃな少年時代、不良な青年時代、一念発起して有名私立大学合格、東京での風来坊生活、何故か北海道根室で密漁船の船長、大阪での放送作家生活、タイでの女衒などなど内容は無茶苦茶である。そして、常につきまとう女の影(常に恋をして失恋している)。しかも、この作品を書いたのは永遠の0でデビューするより20年ほど前で、書き上げたら満足して人に見せずにタンスにしまっていたらしい、よって構成・文章など粗い部分も多いが、問答無用で最後まで読ませるエンターテーメント作家としての腕はこの時代からすでにあったようだ。とても長いしメチャクチャな小説ではあるが、長期休みなどに読んで損はない小説だと思う。



書名・十二国記 白銀の丘 玄の月(全4巻)
作者・小野不由美
出版社・新潮文庫
評価・7点

大人気ファンタジーの18年ぶりの新作長編。もう続きは出ないかと思っていたが、出た(笑)尻切れトンボに終わっていた泰麒(十二国記ファンなら分かると思う)の物語にひとまずのケリをつけた。はっきり言って世界観の構築にページを使いすぎていて無駄に長いし、今までの十二国記のような爽快感はあまりない。ただ、物語の重厚感と品格はただ事ではなく、ちょっと毛色こそ違うものの待たされた甲斐があるだけの作品に仕上がっていると思う。長期休載から復活した田中芳樹氏のアルスラーン戦記や創竜伝がかなり無残なことになっていたのに比べると雲泥の差である。来年、十二国記の新作短編集が出るらしいがそれも楽しみだ。



書名・潜入中国 厳戒現場に迫った特派員の2000日
作者・峯村健司
出版社・朝日新書
評価・5点

朝日新聞社の記者として中国に駐在していた時代の取材の記録。戦闘機の飛行場、サイバー部隊の拠点、解放軍関係、空母島など近づいたらやばそうな場所に突撃しスクープを狙う峰村氏(当局に拘束されること20回以上 笑)。よって伝聞・憶測一切なし。ちまたに溢れるテキトー嫌中本とは一線を画す。ちなみに峯村氏は中国人民大学で中国語を勉強(笑)



書名・中国共産党と人民解放軍
作者・山崎雅弘
出版社・朝日新書
評価・6点

私のリスペクトする山崎氏の新作。現在の人民解放軍の分析と言うよりは「軍事的な面から見た中国近代史」という感じの本。ちょうどよい分量でまとまっており、読みやすい本である。