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下柳剛 〜阪神タイガース補強選手列伝〜

下柳剛投手のデータ
左投げ左打ち 1990年ドラフト4位
<経歴>
新日本製鐵君津
福岡ダイエーホークス(1991〜1995)
日本ハムファイターズ(1996〜2002)
阪神タイガース(2003〜2011)
東北楽天ゴールデンイーグルス(2012)

下柳選手のプロ野球通算成績
年度 試合 先発 勝ち 負け セーブ 投球回 奪三振 与四球 防御率
通算 627 258 129 106 22 1970.2 1418 744 3.92


★阪神入団の経緯・・・トレード
           ※下柳・野口・中村と坪井・伊達・山田の大型トレード


★下柳選手加入の報を聞いたときの管理人の感想
「名前は売れてる選手やけど・・・年いっているし(35歳)、成績も落ち目やし、契約更改でいつも揉めてるイメージあるし、年棒高いし・・・下柳いるかぁ!?てか先発、中継ぎどっちで使うねん?」




阪神にやって来る前の下柳投手

阪神に来る直前3年間の下柳投手の成績
年度 球団 試合 先発 勝ち 負け セーブ 投球回 奪三振 与四球 防御率
00 ハム 36 11 93.2 82 49 4.52
01 ハム 21 21 121.0 89 50 5.06
02 ハム 17 51.2 44 25 5.75

速球派のノーコン、下柳いくら投げさしても壊れない伝説、アイアンホークなどの逸話に加え見た目もなかなかインパクトがありパ・リーグの名物中継ぎ投手として有名だった。防御率はそれほど良いわけでなく、圧倒的な能力を持つ投手というわけではなかったが抜群のスタミナを武器に馬車馬のごとくフル回転してダイエー、日本ハムでは中継ぎとして不可欠な選手だった。

阪神にトレードされる3年前からは先発に転向していたが微妙な成績しか残せていない、勝ち星だけ見るとそれほど悪くはないが、これは当時パ・リーグ屈指だった日本ハム打線の援護があったためと思われる。

3対3のトレードで、しかもトレード要員が全て1軍選手という阪神の歴史の中でも指折りの大型トレードによって移籍してきた。しかし、当時阪神ファンの間では、星野組長のメインターゲットは野口で下柳はオマケだととらえられていたと思う。下柳は確かに有名投手であったが34歳という年齢の上に近年の成績が低迷しており、しかも特徴であった球威も落ちていた、元々コントロールが良いイメージもなかったので、中継ぎなのか先発なのか立ち位置も不明確な上に当時の下柳の持ち球では投手陣の軸にはなれないと思った。ローテーションの谷間かロングリリーフで使えれば御の字、2軍もありうるかもと思っていた。高年棒で扱い辛い下柳を日本ハムが厄介払いしたんじゃないかという見方さえあったほどだ。




阪神にやって来た後の下柳選手

下柳投手 年度別成績(阪神時代)
年度 球団 試合 先発 勝ち 負け セーブ 投球回 奪三振 与四球 防御率
03 阪神 26 24 10 137.2 135 25 3.73
04 阪神 22 21 116.0 76 28 5.12
05 阪神 24 24 15 132.1 90 25 2.99
06 阪神 25 25 12 11 150.1 86 55 3.17
07 阪神 25 25 10 129.1 74 52 4.11
08 阪神 27 27 11 162.1 89 41 2.99
09 阪神 22 22 119.1 64 42 3.62
10 阪神 19 19 100.0 58 33 4.32
11 阪神 28.0 18 12 3.54


ヒゲヤナギ、見た目からしてヤバいヒゲ面のおっさんがのらりくらりと投げる姿が阪神ファン日常の光景に・・・下柳がここまで活躍すると思った阪神ファンは一人もいなかったに違いない(泣)


★阪神補強選手列伝的テキトー選手評価・・・A


正直ここまで活躍するとは思っていなかった。8年間にわたりローテーションを守り80勝、防御率もけっこう良いし、何よりほとんどの年で勝ちが負けより多かった。エースという雰囲気ではなかったが下柳がローテーションに入っていることによってローテが締まっていた。先発陣が豊富な年には裏ローテで勝ち星を稼ぎ、先発陣が総崩れの年には最後の砦、エースとして奮闘。岡田阪神の陰のエースと言ってもよいだろう。

投げている球ははっきし言って大したことはなかったと思う。ストレートの球速は135キロくらい、変化球もスライダー、フォーク、シュートと一通り投げるが切れ味抜群と言うほどじゃない、コントロールはパ・リーグ時代に比べれば大幅に改善されたと思うが針の穴を通すほどのコントロールはなかったと思う。しかし、それらそこまで凄くない持ち球を自在に操り緩急をつけ、のらりくらりと大崩しない安定したピッチングを展開した(緩急と言うよりストレートをほとんど投げていなかったので緩緩かもしれない。)。

タイプ的には完全に技巧派投手でありながらいかつい風貌(中身もいかつい)のヒゲ面で超ふてぶてしいマウンドさばき、シュートを相手打者にぶつけても反省の色ほとんどなし、「心臓に毛が生えてる」っていうのは下柳のことを言うんじゃないかと思った。そんな下柳に恐れをなしたのか相手打者は踏み込みづらかったのかしれない(だってデッドボールでも下柳動揺も反省もしてなさそうだし、怒って乱闘にもちこんでも逆にしばかれそうだし・・・)。

それ以外にも下柳が活躍できた要素としてはJFKやその他の中継ぎ陣が整備されたため「とりあえず5回を投げ切ればよい」という状態だったのも大きいだろう。打順が何回りかして相手が下柳の球筋に慣れる前に後ろの投手にバトンを繋げたのである(05年は最多勝を獲得したにも関わらず投球回数は規定投球回数に全然届かない132回!)。下柳はJFKの恩恵を一番受けた投手と言ってよいであろう。また、同級生である正捕手矢野との関係の良さも下柳の継続的な活躍に繋がったに違いないと思う。

見た目も中身も得難いキャラクターで、セ・パ両リーグを、中継ぎ先発の両方を経験。個人的には阪神でコーチをしている姿を見たいが、果たしてあの濃すぎるキャラにオファーを出す勇気が阪神球団にあるのかどうか(涙)