ホーム>でぶぶの読んだ本考察>2018年3月に読んだ本(2018年3月31日更新)

でぶぶの読んだ本考察|2018年3月に!読破!した本


「でぶぶの読んだ本考察」は本サイト管理人でぶぶの小学生の読書感想文以下のテキトーな考察です!独断と偏見で読んだ本を評価(10点満点)までしちゃうよ!ちょっと辛口かもしれません・・・

※「ネタバレ」があるかもです!「ネタバレ」が絶対に嫌な方はこれ以上読み進めないように!



書名・ラプラスの魔女
作者・東野圭吾
出版社・角川文庫
評価・7点

さすがの東野さん、高いレベルで安定している。作品のレベル、執筆ペース、作品の多彩さなど総合力が高く日本を代表するエンタテイメント作家と言えるであろう。なお、この作品では役割上仕方なかったとは言え青江教授がかなりうざかった(笑)



書名・賛美せよ、と成功は言った
作者・石持浅海
出版社・祥伝社ノベルス
評価・2点

石持さんの看板シリーズの碓氷優佳モノ。相変わらず読みやすいのだが、内容が薄いっ!「これを1冊にしちゃうの?」って感じである。石持さんの初期作品群はかなり質の高い作品が多かったと思うのだが(月の扉、アイルランドの薔薇、扉は閉ざされたまま等)、近年の作品は低い水準で安定してしまっているような気がしてならない。読みやすいし、新作がどんどん出るのはいいことなのだが・・・。



書名・あぶない叔父さん
作者・麻耶雄嵩
出版社・新潮文庫
評価・5点

家の離れで「なんでも屋」を営む(プーに近い)35歳くらいの叔父さんと主人公の男子高校生が登場する短編集。タイトル通りこの叔父さんがかなり危ないヤツで、いわゆるバカミスに近い、叔父さんの造形も横溝正史の金田一耕助に非常に近く、麻耶さんかなり遊んでいるな、という印象。まあ読みやすいし、そこそこ面白い。なお、各トリックは「ひでぇ・・・」という感じだ。



書名・夏と冬の奏鳴曲(ソナタ)
作者・麻耶雄嵩
出版社・講談社文庫
評価・2点

絶版になっている本だが古本屋で購入。日本海にある孤島で繰り広げられる数々の惨劇、そして最後にはメルカトル鮎が登場・・・700ページの大作なのだが不完全燃焼感が凄い、無駄に長いし、話の終わらせ方もいかがなものか・・・。一部ミステリマニアの間では非常に評価が高いようだが、私は読むのに疲れてしまった。



書名・痾
作者・麻耶雄嵩
出版社・講談社文庫
評価・2点

タイトルは「あ」と読むらしい。上記の「夏と冬のソナタ」の後日譚的作品(と言ってもあまり関係ないストーリーだが・・)。バナナの皮に滑って頭を打ち記憶喪失になった主人公の如月鳥有が連続放火魔、猫に対する暴行犯と化すというファンキーな内容の割には、特にカタルシスも訪れないし、陰鬱な感じが淡々と最後まで続く感じである。この如月鳥有モノというべき2作「夏と冬のソナタ」「痾」が絶版状態に留め置かれる訳が分かったような気がする、この2作はあまりに玄人向けすぎて大衆受けはしないこと間違いなし。



書名・ボクたちはみんな大人になれなかった
作者・燃え殻
出版社・新潮社
評価・5点

昨年けっこう話題になってた小説。「燃え殻」は作者名。「新時代の小説」と銘打って売られていたが、そこまで新しいとは思わなかったが・・・。かつての忘れ得ぬ恋と現在の日常を交互に描く抒情的な小説で、文章も読みやすいし、まあ悪くないとは思う。でもそれなりによくあるタイプの小説だと思うのだけどどうだろうか。



書名・真実10メートルの手前
作者・米澤穂信
出版社・創元推理文庫
評価・6点

フリージャーナリストの大刀洗さん(女性)が主人公の短編集。日常の謎より少し大きな謎を大刀洗さんの鋭い観察眼で紐解いていく。この作者さんは本当に巧いと思う。見事な技巧だし、何と言うか小説に品がある。ただ、「すごい面白い」とか「すごい感動した」とかにはならないんだなこれが・・・何でやろうか。



書名・さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ
作者・永田カビ
出版社・イースト・プレス
評価・7点

エッセイ漫画。ちょっと前に話題になってた作品をきちんと読んでみた。「売れた」のはこのインパクトのあるタイトルゆえだろうが、中身はレズ風俗のレポというよりは、作者の永田さんが鬱などの精神的な病から快方に向かっていく話であろう(レズ風俗はその中で重要な役割を果たすのであるが)。かなり赤裸々な内容であるが(己の心象をよくここまでさらけ出して書けたな、と思う)、分かりやすく漫画化されており煽情的なタイトルに似合わぬ力作である。



書名・プラネタリウムの外側
作者・早瀬耕
出版社・ハヤカワ文庫
評価・5点

「未必のマクベス」の早瀬さんの新作文庫。北海道大学を舞台にしたちょっと理系でちょっと科学的でちょっとそっけない恋愛短編集。解説にあった「幾何学的恋愛小説」というのがよく意味は分からんけど何かしっくりくる。まぁこの作家にしか書けないタイプの恋愛小説かな、と思う。



書名・李歐
作者・高村薫
出版社・講談社文庫
評価・7点

再読。タイトルは「りおう」。あらすじ「惚れたって言えよ・・・。美貌の殺し屋(※男だよ!)は言った。その名は李歐。平凡なアルバイト学生だった吉田一彰は、その日、運命に出会った。ともに二十二歳。しかし、二人が見た大陸の夢は遠く厳しく、十五年の月日が二つの魂をひきさいた」。凄くストーリーがいいわけでもなく、感動するわけでもなく、何か学べるわけでもない小説である。ただ、在日朝鮮人・ハングル・北京語・中国・北新地・ミナミ・淀川の工場地帯・桜・大阪の夜の町・男の友情・大陸の夢・アジア・・・など物語の底に流れる空気が好きで、昔から何となく好きな作品。なお、あんまり現実味はないな(笑)