ホーム>でぶぶの読んだ本考察>2018年9月に読んだ本(2018年10月2日更新)

でぶぶの読んだ本考察|2018年9月に!読破!した本


「でぶぶの読んだ本考察」は本サイト管理人でぶぶの小学生の読書感想文以下のテキトーな考察です!独断と偏見で読んだ本を評価(10点満点)までしちゃうよ!ちょっと辛口かもしれません・・・

※「ネタバレ」があるかもです!「ネタバレ」が絶対に嫌な方はこれ以上読み進めないように!



書名・夫のちんぽが入らない
作者・こだま
出版社・講談社文庫
評価・6点

話題作が文庫になっていたので購入。タイトル通り夫の性器が妻に挿入できないという夫婦の、普通とは違う夫婦生活を描く自伝的な小説。当然色々と脚色してあるとは思うのだが、根幹的な部分は作者の実体験と思われ、それゆえに多くの読者の心を掴み賛否を呼んだのであろう。男女には色々な形があって世間で言う「普通」から外れた男女も多く存在しているが、結局は人それぞれの形で普通からかけ離れていようが本人たちが納得しており、周囲に迷惑をかけていなければそれはそれでよいのだと思う。



書名・王とサーカス  
作者・米澤穂信
出版社・創元推理文庫
評価・6点

良作である、それは間違いない。緻密な文体で非常に品がある。ただし、「2016年このミステリーがすごい第1位」というほどのインパクトは感じなかった。内容は、短編集「真実の10メートル手前」でも登場した大刀洗万智がネパールカトマンズでの王宮事件(実際に起きた事件)に巻き込まれ、その過程で起きた殺人事件の関係者の一人となる、というような感じの話である。



書名・西成山王ホテル
作者・黒岩重吾
出版社・ちくま文庫
評価・7点

前作「飛田ホテル」と同じテイストの短編集。「南海電車の萩ノ茶屋駅に立つと西成天王寺界隈が一眼で見渡せる。汚れた街である。」で物語ははじまり、相変わらず大阪の西成界隈の地べたで生きる人々を描く。どうしようもない愛情や悲しさが交錯する良い本だと思う。人間の哀しさを味わいたい時に読む本で安酒が似合う。



書名・読書という荒野
作者・見城徹
出版社・幻冬舎
評価・7点

伝説の編集者にして幻冬舎の社長・見城徹の人生を読書という観点から俯瞰した本。まず帯の煽りがカッコイイ「見城徹の読書は血の匂いがする。ただ、文字を追って読了と悦に入っている輩など、足下にも及ばない。書を貪り喰らったものだけが知る恍惚の表情を浮かべている。」さすが秋元さん(笑)見城さんは石原慎太郎の原稿が欲しいがゆえに、石原慎太郎の小説「太陽の季節」を全文暗記し本人の前で暗唱するなど出てくるエピソードエピソードが頭おかしい(笑)ただ、圧倒的に頭がおかしいがゆえに彼の読書遍歴をたどる本がそこらの本よりよほど面白い仕上がりになっている。



書名・死ぬこと以外かすり傷
作者・箕輪厚介
出版社・マガジンハウス
評価・7点

本屋で多面展開されていたので「たまにはビジネス書でも読もうか」と購入。知らなかったのだが箕輪さんというのはビジネス書でベストセラーを連発している新進気鋭の編集者らしい。この本はとにかく熱い、箕輪さんの熱い思いがほとぼしる本である。「発狂せよ」「熱狂せよ」という箕輪さんの熱い思いが少しだけ普段怠惰な私に届いたような気がした。



書名・ダブルマリッジ
作者・橘玲
出版社・文藝春秋
評価・5点

橘さんの小説。「娘が父親の戸籍全部事項証明書を取得するとそこには見知らぬフィリピン人女性の名前が・・・。父親が母親以外の女性とも結婚しており、重婚状態になっている。その裏に隠された事情は・・・」という感じの内容。橘さんぽい情報小説である。小説家としての腕前は相変わらず「普通」という感じだが、世間があまり知らない興味深い情報を小説として作り上げる腕前はなかなかのもので、一応読む価値はあるかと思う。



書名・太陽は気を失う  
作者・乙川優三郎
出版社・文春文庫
評価・7点

「トワイライト・シャッフル」を読んで乙川さんの現代モノを気に入ったのでこの短編集も購入。中年から老年にさしかかるあたりの市井の人々が主人公となっており、ままならない人生たちを優しい筆致で描く上品な短編集である。帯の「人生の分岐点や終着点を迎えた男女の生きる姿を端正な文章で切り取った芳醇な物語」という煽りはその通りだと感じた。上記「西成山王ホテル」と違い安酒は似合わない、ワインなどが似合いそうな小説である。



書名・路地の子
作者・上原善広
出版社・新潮社
評価・8点

「ワシは更池の上原じゃ!!」。大阪府松原市更池の被差別部落出身の著者が自信の父親を活写するノンフィクション。コッテ牛と呼ばれ、ヤクザ者に対しても「今さら命乞いしても遅いわ。そこでジッとしとれ!」と包丁を持って向かっていく破天荒な父親の生涯(まだ生きてるっぽいが・・・)は、非常に面白い(めちゃくちゃやが)。被差別部落(著者は「路地」という)、同和利権、ヤクザ、右翼、食肉利権、飛田新地や信太山新地などアカンものがいっぱい出てくるが、それが昭和の大阪のリアルな姿なのであろう(さすがにハンナンの浅田満はカワナンの川田萬という仮名になってたが・・・)。著者の上原さんも何かと物議を醸し出す方だが、数冊読んだ上原さんの著作の中では文句なしに1番面白かった。



書名・新書英雄伝 戦史に輝く将星たち
作者・有坂純
出版社・学研
評価・9点

戦史好きにおすすめ。スパルタのレオニダス、サラミス海戦のテミストクレス、地中海を震撼させたハンニバル、伝説の斜線陣エパミノンダス、砂漠のオアシス・パルミラの女王ゼノビア、匈奴征伐の英雄・衛青と霍去病、ナポレオン配下のハゲ元帥ダヴーなどそれなりに名前は売れているけど詳細について知らなかった英雄たちを、戦争・戦術・戦略という観点から書いた良書である。私の「好み」にドンピシャな内容なのでシリーズ化してくれたら凄く嬉しいのだが、あまり売れそうにないから無理だろうな。



書名・食いつめものブルース
作者・山田泰司
出版社・日経BP社
評価・7点

最近発売される現代中国モノと言えば「ネット右翼向けの日本上げ中国下げ」か「習近平などの共産党指導部に焦点をあてた政治モノ」が中心だが、この本は違う。登場するのは中国の農民工いわゆる農村出身の出稼ぎ労働者だ。彼らは上海や北京などの大都会の経済発展に伴って大量に必要とされた3Kの仕事に従事していた。現在の中国発展に必要不可欠な存在であったのは確かだが、彼らの立場はあまりに弱く、時代の流れや政策の変更によって奈落の底に突き落とされる。彼ら農民工のじわじわと詰んでいく様子が何とも辛い。日本において農民工の存在は知られているものの、彼らは決して顔のある存在ではなかった、そんな中著者は農民工と個人として長く付き合い、彼らの懐に入り込んでいく(完全に入りこんだわけではないが、完全に入り込むには彼らと結婚でもして一族の一員となるくらいでないと難しかろう)。このルポは10年以上に渡る著者の中国生活の結実の一つであるから(著者は大手新聞社の特派員などの恵まれた立場ではなく、どちらかと言えば中国在住の日本人の中では所得の低い人であろう。本作においてはその立場が著者を利したが、この本もそこまで売れていないであろうから著者は貧乏なままかと思う)、凡百のしょーもない現代中国本とは格が違うのである。現在中国ルポの傑作と言えよう。



書名・政権奪取論
作者・橋下徹
出版社・朝日新書
評価・5点

出版社が朝日というところが、「朝日もただものではないな」という感じ(笑)元維新の橋下さんによる政治のお話なのだが、きれい事抜きで政権を奪取する(選挙に勝つ)方法を説いている。個人的にはこの人はどうも嫌いになれない(色々と滅茶苦茶やる人だが・・・)。現在のコメンテーターのような立場じゃなくてもう1回政治に挑戦してみてほしいな。 



書名・橋下徹の問題解決の授業 大炎上知事編
作者・橋下徹
出版社・プレジデント社
評価・6点

橋下さんの有料メルマガをまとめて加筆した本。桝添さん問題、小池さんの豊洲問題、公明党、公務員の政治活動など最近の時事問題や府知事・市長時代に体験した問題などをバッサリ斬りまくる。論旨が明快で、かつ遠慮なくバッサリやっているので(古賀茂明さんとか鳥越さんとかボロクソ・・笑)わかりやすいし面白い。問題は200ページに満たない薄さで1500円超えの値段・・・1080円くらいなら妥当だしもっと売れたかと思う。