ホーム>でぶぶの読んだ本考察>2019年1月に読んだ本(2019年2月1日更新)

でぶぶの読んだ本考察|2019年1月に!読破!した本


「でぶぶの読んだ本考察」は本サイト管理人でぶぶの小学生の読書感想文以下のテキトーな考察です!独断と偏見で読んだ本を評価(10点満点)までしちゃうよ!ちょっと辛口かもしれません・・・

※「ネタバレ」があるかもです!「ネタバレ」が絶対に嫌な方はこれ以上読み進めないように!



書名・日本の「中国人」社会
作者・中島恵
出版社・日経プレミアム
評価・6点

中国系のルポを多数出版している中島さんが在日中国人社会について取材して1冊にまとめている。かつての「出稼ぎ労働者」「怪しい」といった日本社会の中国人のイメージはすでに時代遅れで、ビジネス面でも教育面でも中国人が日本人を凌駕しつつある現実を直視しなければならない。



書名・クリムゾンの迷宮
作者・貴志祐介
出版社・角川ホラー文庫
評価・8点

再読。久しぶりに読んだがやはり面白い。ホラー文庫から出ているが純然たるエンタテイメント作品、やはり貴志さんは一流のエンターテイナーだと思う。



書名・オカルト・クロニクル
作者・松閣オルタ
出版社・洋泉社
評価・7点

オカルト本というより未解決事件のまとめ本。著者が運営するネットの人気サイトの内容をそのまま流用したようだ。ディアトロフ峠事件、熊取町七名連続怪死事件、京都長岡ワラビ採り殺人事件、赤城神社主婦失踪事件などネット上で人気?の事件・怪異15件が取り上げられている。サイト発ゆえ多少茶化した内容も目立つが人間の好奇心を刺激する内容だ。深夜で一人の時に読むと少し背筋が凍るかも(笑)



書名・〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件
作者・早坂吝
出版社・講談社文庫
評価・6点

第50回メフィスト賞受賞作。一応ミステリー小説である。一言で言うなら「うんこ」である。ただし、ただの「うんこ」ではない。「うんこ」ではあるがきちんとしたミステリーである。バカミス、糞ミス、エロミス、わいせつミス・・・そんな感じだがミステリ好きならとりあえず一読しておくのもありだろう。ちなみに文章的にも量的にもさらっと読める。



書名・虹の歯ブラシ 上木らいち発散
作者・早坂吝
出版社・講談社文庫
評価・5点

援交探偵上木らいちシリーズ2作目。短編集。7作収録されているが、前半5編は一般向け、後半2編はミステリマニア向けか。エロと本格ミステリが融合する顰蹙を買いそうな作品である。



書名・誰も僕を裁けない  
作者・早坂吝
出版社・講談社文庫
評価・6点

援交探偵上木らいちシリーズ3作目。ついに館モノである。しかも社会派である。当然エロミスである。セックス中の〇〇がトリックの重要な部分を占めるという相変わらずの上木らいちシリーズ。ゴミのような小説にも見えるがひょっとしたら傑作なのではないかという仄かな思いも湧き出てくる・・・。



書名・シャブ野の懺悔 西成密売四十年
作者・木佐貫真照
出版社・角川書店
評価・7点

シャブ屋さんでヤクザ屋さんだった木佐貫さんの一代記、ヤンキー少年時代、シャブ屋(ヤクザ)時代(ほぼ刑務所、服役30年て・・・)、足を洗った後時代が描かれる。まぁ結構ぶっとんだ内容である、現在はシャブ中の更生のために働いているとはいえ、シャブ屋時代を心から悔いているというよりは、「今自分がやるべき事をやっているだけ」という印象を受けた。よってシャブ屋時代をそこまで卑下しているような感じでもないので本の内容は率直で面白い。まあ、アカン人ではあるが独特の人間的魅力があるからシャブ屋としてもヤクザ(シャブ屋)としてもそれなりに名を売り、足を洗ったと後も彼の活動(シャブ中更生施設や執筆活動)を支える人が出てるくるのであろう。ちなみに私はシャブに興味はないが、地元大阪のノンフィクションということで興味を持ち購入した。



書名・十字軍物語一 神がそれを望んでおられる
作者・塩野七生
出版社・新潮文庫
評価・8点

塩野氏の超大作「ローマ人の物語」は途中で挫折したので本作もそこまで期待していなかったのだが、これが面白い!戦争を題材に扱った作品だから、とっつきやすかったのだろうか?法王ウルバン2世、隠者ピエール、貧民十字軍で十字軍が始まり、パレスチナで激闘を繰り広げるサン・ジル(傲慢・熱血ジジイ)、アデマール(軍師司教)、ロレーヌ公ゴドフロア(名将ぽい)、ボードワン(ゴドフラオ弟。エデッサ!)、プーリア公ポエモンド(有能モテ男)、タンクレディ(ポエモンド親戚。勇将)が登場。概略しか知らなかった十字軍の歴史が極彩色で理解できた。



書名・十字軍物語二 イスラムの反撃
作者・塩野七生
出版社・新潮文庫
評価・7点

時の流れと共に第1回十字軍のスターたちが退場した後の寂しい時代。ただし、個人スターの代わりに十字軍側ではテンプル騎士団、聖ヨハネ騎士団などの組織が登場。また、イスラム側にもヌラディン、サラディンなどの大物が登場する。そんな中でもエルサレム王(十字軍側)の癩王ボードワン4世(不治の癩病らいびょうを患っているので癩王。何ちゅうネーミングセンス!)が凄い。13歳で即位して24歳で癩病のため亡くなるのが、病気でまともに動けないのに出陣しまくる、時には馬に自分の体を縛り付けて・・・そしてイスラムの英雄サラディン率いる1万3000の軍勢にわずか580騎の騎兵で正面から突っ込むのだ(もちろん王さん先頭)・・・凄い男たちの物語を読んだ。



書名・争うは本意ならねど  
作者・木村元彦
出版社・集英社文庫
評価・6点

副題は「日本サッカーを救った我那覇和樹と彼を支えた人々の美しゴール」。2007年に世間を騒がしたJリーガー(川崎フロンターレの我那覇選手)によるドーピング事件(にんにく注射問題)。実際の事件は新聞記者による誤報と、Jリーグの認識不足、一部権力者の保身などにより生じた冤罪だった。頑なに自らの権威を守ろうとする権力者たちと戦う我那覇とその支援者たちを描くノンフィクションである。権力を行使する者はその行使した力によって何が起きるか想像力を働かし、謙虚でなければならない、と感じた。サッカーが好きな全ての人に読んでもらいたい本だ。



書名・娼婦たちは見た  
作者・八木澤高明
出版社・角川新書
評価・6点

真面目系の風俗ルポルタージュ。イラク、ネパール、中国、韓国とアジアの訳あり地域で体を売る娼婦たちの姿、そしてその地域の売春の歴史を追う。娼婦という裏口からその国の社会を覗くことによって表からは見えない部分が見える。取材時期が長期間に及ぶこともあって内容に統一感がない部分があったり、多少わかりにくい部分もあるが、何とも言えない無常感がただよう力作だと思う。



書名・ハンニバル戦争
作者・佐藤賢一
出版社・中公文庫
評価・6点

古代ローマを恐怖のどん底に陥れた世界史史上に燦然と輝く名将ハンニバルを、最終的にはハンニバルを破ることになるスキピオの視点から描く(戦争がはじまった時には10代だったスキピオの成長物語とも言える)。全編をスキピオの視点から描くというのはなかなかに新鮮だったが、それゆえにハンニバルが書き切れなかったのはやむを得ないか。「危険に立ち向かうとき、こよなく大胆であり、危険のただ中にあっても、ひときわ思慮深かった。どんな艱難にも身体は疲れを知らず、精神はくじけることがなかった。暑さにも寒さにも同じように耐えることができた。飲食の量は欲望にまかせず、自然の必要に応じていた。昼に働き夜に眠るというわけでなく、仕事をして余った時間が眠りにあてられた。眠るにも、柔らかな寝床も静寂もいらなかった。戦地にあっては、兵士の外套をかぶって大地に寝込んでいた。それを目撃した人々は多く、また、しばしばだった。衣服は同じ身分の者のなかでも少しも目立たなかったが、武具と馬はきわだっていた。騎兵の間でも歩兵の間でもおなじように群をぬいてすぐれていた。人に先んじて戦場に赴き、いざ戦いになれば最後に戦場を去るのだった・・・ローマ史のハンニバル評」