ホーム>でぶぶの読んだ本考察>2019年2月に読んだ本(2019年3月3日更新)

でぶぶの読んだ本考察|2019年2月に!読破!した本


「でぶぶの読んだ本考察」は本サイト管理人でぶぶの小学生の読書感想文以下のテキトーな考察です!独断と偏見で読んだ本を評価(10点満点)までしちゃうよ!ちょっと辛口かもしれません・・・

※「ネタバレ」があるかもです!「ネタバレ」が絶対に嫌な方はこれ以上読み進めないように!



書名・十字軍物語三 獅子心王リチャード
作者・塩野七生
出版社・新潮文庫
評価・8点

皇帝赤ひげ(バルバロッサ)フリードリヒ、フランス王フィリップ、イングランド王リチャードと役者がそろった華の第三次十字軍が中心の内容。特に獅子心王(ライオンハート)と言われたリチャードは滅茶苦茶良く書かれている(笑)塩野さん多分リチャードファンやったんやろなぁ。それにしても赤ひげ・・・(泣)



書名・十字軍物語四 十字軍の黄昏
作者・塩野七生
出版社・新潮文庫
評価・7点

第六次から第八次までを描く最終巻。第六次の神聖ローマ皇帝フリードリヒは、戦わずして勝つ、という孫子の兵法を体現したような人で、イスラム側と戦闘を交えずイスラエルを奪還。第七次と第八次はフランス王ルイ九世が主導するのだが、この聖人と称された皇帝は軍人としては無能極まりなく、彼の失敗がパレスチナのキリスト教勢力の壊滅につながる。十字軍全四巻歴史好きにおすすめです。



書名・勝ち過ぎた監督 駒大苫小牧幻の三連覇
作者・中村計
出版社・集英社文庫
評価・7点

2004年から2006年に夏の甲子園を席巻した駒大苫小牧を若き監督・香田誉士史を中心に追った優れたノンフィクション。550ページに及ぶ大作だが野球好きなら一気読み間違いなし。



書名・爆走社長の天国と地獄 大分トリニータVS溝畑宏 
作者・木村元彦
出版社・小学館新書
評価・7点

大分の田舎クラブがJリーグへそしてカップ戦で優勝するまでに、その大半に関わった奇妙な官僚溝畑宏の物語。「溝畑は小説より奇なり」と言われた男は奇妙なまでの情熱を大分トリニータに投入する、金が足りない時には私財を投入し、嫁にも逃げられ、スポンサー集めのためには裸踊り、チン毛燃やし、ケツ出しなどなど何でもござれ。しかし、最後には自身の経営の不手際に様々な要素も加わり、社長の座を追われてしまう。はっきり言って欠点だらけだし、近くにいたらうざいかもしれない、ただ溝畑が満身大分トリニータであったということは事実だろう。いずれどこかのクラブで再登板してほしいが、溝畑のような猛毒を拾うクラブはないだろうな、と思う(笑) 



書名・連続殺人犯
作者・小野一光
出版社・文春文庫
評価・7点

ルポライターである小野氏が有名事件の殺人犯に迫る。10個の有名殺人事件が取り扱われるが北九州監禁連続殺人事件の松永は「こいつこそサイコパスというものなのか」、福岡一家4人殺人事件の犯人の一人ウエイウエイの中国の両親の悲嘆にくれる姿はあまりに哀しい。どの事件も1冊のルポとして読むならば重すぎて気疲れするだろうが、それぞれが犯人に焦点をあてた30〜50ページ程度の内容になっているため読みやすく、様々な殺人犯の姿〜一部は世評通り、一部は何故このような人物がこれほど凶悪名事件を起こしたのかと思わせる〜を覗くことができる。「人は何故人を殺すのか?」の10個の回答例である。



書名・世界史の大逆転
作者・佐藤優・宮家邦彦
出版社・角川新書
評価・5点

恒例の対談本。佐藤さん色んな人と対談してんな・・・小林よしのりとの対談本でも出してくれんかね(笑)



書名・火口のふたり
作者・白石一文
出版社・河出文庫
評価・4点

結婚式間近の直子と直子の従兄弟の賢治がひたすらセックスしまくる話。いつも理屈っぽい白石小説だがこの作品はその辺は薄め。



書名・橋を渡る
作者・吉田修一
出版社・文春文庫
評価・5点

大作ではあるのだが・・・う〜ん。4つのパートに分かれており、最初の3編では東京で暮らす3人のそれぞれのちょっと不穏な日常が描かれる。そして最後のパートで物語が収束?していくのだがその収束のさせ方が何とも・・・。最近の吉田修一はなかなか難しい。



書名・屋上
作者・島田荘司
出版社・講談社文庫
評価・3点

記念すべき御手洗作品50作目なのだが、内容ははっきり言ってバカミス・・・。無駄な会話が永遠と続き、御手洗登場はかなりの進んでから、また御手洗自身も往年の風がない(前作の星籠の海でも感じたことだが)。久々の読者への挑戦状付きのトリックも御手洗作品ぽいと言えばぽいトリックなのだが、往年の馬鹿馬鹿しいが壮大だったトリックに比べればショボい、偶然且つ強引すぎる。これではゴッド・オブ・ミステリの名が泣くし、御手洗潔の名が泣くぞ!



書名・承久の乱
作者・本郷和人
出版社・文春新書
評価・6点

歴史書と小説の間のような感じの読み応えである(著者的には歴史書なんだろうけど)。歴史学者の方々からは色々と異論もあるのだろうが、著者の著作は難しい内容を興味深く読める、という点でおすすめである。



書名・独裁の中国現代史
作者・楊海英
出版社・文春新書
評価・5点

中国モノの書き手であるこの著者に興味があって手をとってみた。指導者(毛沢東とか習近平とか)による独裁、共産党による独裁、漢民族による独裁の3つの独裁という観点から中国近代史を振り返るような内容だった。読みやすい文章で悪くはないのだが、特に新しい内容でもなく可もなく不可もなく、というところか。中国近代史の復習にはなったと思う。



書名・一刀斎夢録
作者・浅田次郎
出版社・文春文庫
評価・8点

再読。壬生義士伝から始まる浅田版新選組の完結編(それぞれ独立しているので本作だけ読んでも問題ない)。るろうに剣心で有名になった新選組三番隊長・斎藤一が本作の主人公である。幕末の動乱、西南戦争を期せずして生き残ってしまった稀代の剣鬼が酒を飲みながら当時を語るという設定だが、「人など所詮飯を食うて糞をひねり出すだけの糞袋じゃ」「酔えばようほど剣が冴え、人を斬りたくなる」という異形の剣客の語りだけに(浅田次郎が書いてるのだが)、物語は異様な光彩を帯びていく・・・。一糞袋としてアルコール分9%の安酒で酔っ払いながら読了した。名作である。