ホーム>でぶぶの読んだ本考察>2019年9月に読んだ本(2019年9月29日更新)

でぶぶの読んだ本考察|2019年9月に!読破!した本


「でぶぶの読んだ本考察」は本サイト管理人でぶぶの小学生の読書感想文以下のテキトーな考察です!独断と偏見で読んだ本を評価(10点満点)までしちゃうよ!ちょっと辛口かもしれません・・・

※「ネタバレ」があるかもです!「ネタバレ」が絶対に嫌な方はこれ以上読み進めないように!



書名・悪果
作者・黒川博行
出版社・角川文庫
評価・7点

大阪府警今里署のマル暴担当刑事の堀内と伊達のコンビが主人公。ほぼほぼキレイゴト抜き、刑事もヤクザもみんな真っ黒けっけの世界が全編コテコテの関西弁で描かれる。実際の警察はここまで腐敗していない・・・と思いたい(笑)何ともげすいが、げすさの中にほのかな温かみを感じるのは関西弁のおかげか(笑)それと地元なので地名から場所を想起しやすい。



書名・疫病神
作者・黒川博行
出版社・角川文庫
評価・6点

黒川さんの作品群の中では一番有名と思われる疫病神シリーズの1作目。けっこうグレーな建設コンサルタントの二宮とヤクザの桑原がカネのために共闘する。前作の悪果と連続して読んだため思ったほどのインパクトはなかった。こういうコテコテの作品は時間を空けて読むべきだと思った。



書名・トランプに学ぶ現状打破の鉄則
作者・橋下徹
出版社・プレジデント社
評価・5点

橋下さんのネット配信記事をまとめた内容。世間から非難轟轟のトランプのおっちゃんだが橋下さんは(彼の思想ではなく)彼の手法を高く評価する。橋下さんの解説を読むと「こういう視点でみればトランプの言動は一貫してるんだな」と思わせられる。徹底的に理屈で攻める橋下さんは合わない人は合わないだろうけど、私はやはり好きかな。



書名・ストーカーとの700日戦争
作者・内澤旬子
出版社・文藝春秋
評価・6点

そこそこ名の売れたルポライターである著者がネット(ヤフーパートナー)で知り合った男性と交際したが、男性の(ちょっと)異常な行動が目立ってきたため交際を解消。するとその男性がストーカーに・・・。小豆島(著者の居住地)と高松を舞台に繰り広げられる鬱々とした攻防戦、ストーカーへの対処の難しさ、整備途上の法制度、ネット上の中傷への対応など様々な問題が著者の実体験を通してあぶり出される。多少冗長な部分もあるが、色々と病んでいる現代社会に生きる人間としては読む価値のある一冊であろう。ちなみに内澤さんの著書の中で最も売れ行きの良い本になると思う(笑)



書名・大阪 都市の記憶を掘り起こす
作者・加藤政洋
出版社・ちくま新書
評価・4点

まじめな本。学者さんが書いた本にしては読みやすいことは読みやすいのだが、面白いまではいかない。内容は大阪という都市の(明治以降の)近世史。



書名・東京湾景
作者・吉田修一
出版社・新潮文庫
評価・7点

新装版が出ていたので購入、再読。東京湾岸を舞台とする恋愛小説。貨物倉庫で働く色々と重たい過去のある亮介と、普通のよく仕事のできるOL<涼子>が出会い系サイトで知り合い身体を重ねる、というようなありがちな設定なのだが、さすがの吉田修一で読ませる。15年ほど前の作品だが全く古びておらず、(吉田修一作品の中では)そこそことっつきやすく後味も悪くないので、吉田修一入門には丁度良い作品かと思う。なお、新装版の特典である後日譚(15年後の話?)はちょっと期待外れだった(泣)



書名・海の境目(漫画)
作者・桃山アカネ
出版社・講談社
評価・5点

モーニングコミックス。全然知らない漫画家だったが本屋で見つけて何となく購入(時々知らない漫画家の漫画を衝動買いすることがある、今までそれで何人かのお気に入りの漫画家を発見した)。ある地方都市(多分山口県萩市がモデルか)で暮らす高校生の由美子が主人公なのだが、不安定な家庭環境や閉塞感のある地方の小都市を舞台になかなか味わい深いストーリーで著者が21歳とは思えない。ただ、絵がかなり発展途上の状態で絵の拙さから初読の時は人物を把握できず混乱したりした(2読目では分かった)。絵さえもう少し上手くなれば将来性抜群なのは間違いない。



書名・だから居場所が欲しかった
作者・水谷竹秀
出版社・集英社文庫
評価・7点

副題は「バンコク、コールセンターで働く日本人」。フィリピンに生きる困窮邦人というルポで名を知らしめた著者の新作文庫。タイのバンコクのコールセンター(日本からつながっている)で働く日本人たちの物語。コールセンターはタイにおける日本人の働き先としては最底辺と見られているらしい、それは職歴・服装・語学力が不要で常識的な日本語対応さえできれば働けるためだ(日本からの電話相談に対応している。もちろん日本の相談者はタイにつながっているとは思ってもいない)。そんなコールセンターには様々な経歴の持ち主が働いている。生きる目的を失っている人、語学の勉強のためにタイに来ている人、借金から逃げてきた人、タイの風俗にはまった人、性同一障害の人・・・たいていの人が「日本に居場所がない又は日本では生きにくい」というような人だ。色々と考えさせられるルポルタージュである。



書名・漫画家入門
作者・浅野いにお
出版社・筑摩書房
評価・6点

「ソラニン」などで有名な漫画家・浅野いにお氏の字ばっかりの本。と言っても小説でもなく、タイトルのような漫画家になるためのハウツー本でもない。浅野氏の日常をゆる〜く綴る日記である。なかなかにこなれた文章で退屈せずに最後まで読めるのだが、ホントに日常生活なのであまり得るものはない。浅野いにおファンのための本である。



書名・屍人荘の殺人  
作者・今村昌弘
出版社・創元推理文庫
評価・7点

文庫版が出てたので買って再読。やっぱりよくできた本格ミステリーだと思う。一気に読ませるし解決編の納得度も高い。不条理な設定さえ受け入れられるならオススメである。



書名・魔眼の匣の殺人
作者・今村昌弘
出版社・東京創元社
評価・3点

上記「屍人荘の殺人」の続編(探偵役が一緒)。文庫化まで待つつもりだったが、待ちきれずに単行本で購入。・・・が、前作に比べると格落ちという感じ。時々「プロじゃなくてアマチュアが書いたのでは?」と感じてしまうことも。前作を読んで期待に胸を躍らせワクワクしながら読んだ方でガッカリした方は多いではなかろうか。これが今村氏の実力なのか、たまたま悪かったのか・・・3作目が鍵を握るであろう。せっかく売れているので、売れている間に次なる傑作を表し、本格ミステリー界の新たな旗手になってほしい。とりあえず次も読みます。