ホーム>でぶぶの読んだ本考察>2019年10月に読んだ本(2019年11月5日更新)

でぶぶの読んだ本考察|2019年10月に!読破!した本


「でぶぶの読んだ本考察」は本サイト管理人でぶぶの小学生の読書感想文以下のテキトーな考察です!独断と偏見で読んだ本を評価(10点満点)までしちゃうよ!ちょっと辛口かもしれません・・・

※「ネタバレ」があるかもです!「ネタバレ」が絶対に嫌な方はこれ以上読み進めないように!



書名・国境
作者・黒川博行
出版社・文春文庫
評価・7点

全編関西弁の疫病神シリーズの北朝鮮編。詐欺にはめられた二宮と桑原(ヤクザ)は、詐欺師が逃げ込んだ北朝鮮に飛ぶ。金正日(桑原曰くパーマデブ)時代の北朝鮮の情景描写は凄まじくリアルで「どうやってここまで取材したんや」と思わせる。文庫2冊800ページ近い分量ながらあっとう間に読ませるのは作家の力量かはたまた二宮と桑原の関西弁の掛け合い漫才のテンポの良さか。



書名・月の満ち欠け
作者・佐藤正午
出版社・岩波書店
評価・8点

直木賞受賞作。そこまで期待していなかったのだが(佐藤作品は私にとっては当たり外れが大きく、最後まで読み切れないことも多々あった)、意外や意外非常に読ませる小説であった。佐藤作品は何作か読んだが、「Y」の次に好きかな、という感じ。岩波書店、直木賞ということで結構重厚な文学的作品を予想していたが、Yと同系統のファンタジー要素のあるエンタメ作品だった(正直、直木賞っぽくないと言うか、よくこの系統の作品で直木賞とれたな、という気はする)。私にとって「いい小説」だった。



書名・信長ぎらい
作者・天野純希
出版社・新潮文庫
評価・7点

何となくダサいタイトル。しかも短編集ということで、そこまで期待していなかったが、なかなかの秀作揃いだった。信長と(主に悪い意味で)因縁のある武将たち(今川義元・真柄直隆・六角承禎・三好義継・佐久間信栄・織田秀信など)が短編の主人公になるのだが、どの作品も味わいがあり(腹に肉をたくわえた六角承禎の話は特に良い)、天野さん腕をあげたなという印象である(今まで何作か天野氏の長編歴史小説を読んでいるが可もなく不可もなく、という印象だった)。



書名・もっとさいはての中国
作者・安田峰俊
出版社・小学館新書
評価・7点

「さいはての中国」の続編的ルポ。今回は中国は中国でもだいたいの舞台は中国外になる。ルワンダ、ケニア、カナダ、タイ、ニューヨークなど中国人と中国企業は今や世界中に進出しているのだ。カナダの華僑による秘密結社(チャイニーズフリーメイソン)に突撃したり、中国政府から手配されている中国人ユーチューバーにインタビューしたりと相変わらず読者の期待に応えてくれる。イデオロギーに満ちた中国時事本が多い中、安田氏の楽しく興味深く読める中国ルポに今後も期待したい。