ホーム>でぶぶの読んだ本考察>2020年2月に読んだ本(2020年3月5日更新)

でぶぶの読んだ本考察|2020年2月に!読破!した本


「でぶぶの読んだ本考察」は本サイト管理人でぶぶの小学生の読書感想文以下のテキトーな考察です!独断と偏見で読んだ本を評価(10点満点)までしちゃうよ!ちょっと辛口かもしれません・・・

※「ネタバレ」があるかもです!「ネタバレ」が絶対に嫌な方はこれ以上読み進めないように!



書名・ラストレター  
作者・岩井俊二
出版社・文春文庫
評価・4点

岩井俊二自身が監督した映画の原作小説。90年代の名作・ラブレター(映画も小説もあり)を彷彿させる内容だが、(映画・小説ともに)シンプルさや力強さが不足しているように思う。さすがの岩井俊二も「老いたり」ということなのか(私の感性が加齢によってにぶっている可能性もあるが・・・)。ちなみに映画版の森七菜は可愛かった・・・相変わらず少女を美しく撮るのは上手いロリコン岩井監督である。



書名・ファーストラヴ
作者・島本理生
出版社・文春文庫
評価・4点

直木賞受賞作。父親殺害の容疑で逮捕された女子大生・環菜。ただし、殺害の動機は不明で、その動機の謎に臨床心理士の由紀が迫る。非常に繊細な小説で色々と考えさせられるが、エンタメ作品として単純に「面白いか面白くないか」と問われれば「そんなに面白くない」という感想になってしまう。直木賞受賞作という色眼鏡を外して読めば、なかなか大した小説なのかもしれないが・・・。



書名・ファントム・ピークス
作者・北林一光
出版社・角川文庫
評価・8点

10年くらい前にそこそこ売れた小説。最近本屋で平積みになっていたのでついに購入したが、これが予想以上に面白い。表紙からミステリーかホラー系ミステリーかと思っていたら純然たるパニックエンタテイメントではないか。舞台は長野県安曇野の美しい山々。主人公・三井周平の妻が山で行方不明となり、半年後に頭蓋骨が発見される。その後も女性の失踪が相次ぐ。一見平和な山に何が潜んでいるのか。途中からページをめくる手が止まらなくなること間違いなし。特に何か心に残るとかそんなものはないのだが、純粋に面白いエンタメ小説である。



書名・藻屑蟹
作者・赤松利市
出版社・徳間文庫
評価・5点

赤松氏のデビュー作。この作品そのものより、一部メディアで報じられた赤松氏そのものに興味が湧き購入。住所不定の路上生活者が書いた(実際にはネットカフェで書いたようだ)作品で一部識者が絶賛したという。3.11から6年が経過した福島、原発事故の問題は全く解決しておらず除染作業員、原発難民、地元住民は様々な問題を抱え、軋轢が生じ、被災地ゆえに流れ込む莫大な金が人々を狂わせる。私は「人間の業を書かせれば上手い作家なのかな」という印象を受けたが、思ったほどの「えぐさ(アクの強さ)」を感じなかった(評判から期待しすぎていたのかもしれない)。超アクの強い小説との噂を聞いた「鯖」が文庫化されるまでは赤松氏の評価を保留したいと思う。



書名・震災風俗嬢
作者・小野一光
出版社・集英社文庫
評価・6点

東日本大震災の直後に東北で営業を再開した風俗店で働く女性たちとそこに集う男たちの物語(ノンフィクションである)。お店の女の子も客も被災者(共に家族を亡くしているようなケースも)という特殊な状況で生まれた特殊な物語で、この記録を後世に残す必要があるのかどうか分からないが、淡々とした筆致で書かれたこの本は後世に残っていくような気がする。



書名・旅人の表現術 角幡唯介 
作者・角幡唯介
出版社・集英社文庫
評価・6点

冒険家角幡さんの雑文集。対談とか文庫本の解説とか角幡さんの色々な文章をかき集めた感じ。よって統一感はないものの、野人のような冒険家のくせに相変わらず文章力は極めて高く、内容も興味深いものが多い。



書名・悪と仮面のルール
作者・中村文則
出版社・講談社文庫
評価・7点

再読。あわせて玉木宏主演の映画DVDも視聴。この本はやはり好きかな(今まで読んだ中村さんの著作の中では一番好きかも)。何が素晴らしい?と聞かれたら回答に困るが、全体の醸し出す雰囲気が何となく好きである。映画はダメだった。何がダメかと聞かれたらすぐには答えられないが、文章の時にはあった独特の雰囲気が感じられなかった。本の再読はあるかもしれないが、映画の再視聴はなかろう。