ホーム>でぶぶの読んだ本考察>2020年8月に読んだ本(2020年8月31日更新)


でぶぶの読んだ本考察|2020年8月に!読破!した本


「でぶぶの読んだ本考察」は本サイト管理人でぶぶの小学生の読書感想文以下のテキトーな考察です!独断と偏見で読んだ本を評価(10点満点)までしちゃうよ!ちょっと辛口かもしれません・・・

※「ネタバレ」があるかもです!「ネタバレ」が絶対に嫌な方はこれ以上読み進めないように!



書名・ 身分帳
作者・佐木隆三
出版社・講談社文庫
評価・6点

絶版になっていた30年前くらいの文庫本が来年の映画化にあたって復刊されたようだ。佐木さんといえば昭和の犯罪小説の大家で「復讐するは我にあり(私は読んでない)」で直木賞をとったほどの人だ。この身分帳は人生の大半を刑務所で過ごした40代の男が刑務所から出所した後の日常を描く(小説というよりノンフィクションに近いのか)。世間が冷たいのか、それともこの男が悪いのか。私には世間が(多少冷たいにしても)まともで、この男が(多少信義に厚く情にもろいなど愛すべき面があるにしても)短絡的で悪いようにしか思えなかったが・・・。ただ、人間というものの多種多様さ、そして哀しさ、優しさなどが詰め込まれた本だとは思う。



書名・修羅の終わり 上下
作者・貫井徳郎
出版社・講談社文庫
評価・8点

貫井さんの初期長編。公安刑事久我の章、悪徳刑事鷲尾の章、記憶喪失の青年の章の3編から成る。サスペンスなのかミステリーなのか、強姦、薬物、暴力が至る所に出てくるが、とりあえず抜群のリーダビリティで読ませる。このような構成の物語は必ず3編がどこかでリンクしているものであるが、私には2編のリンクしか分からなかった(最後のページで2編のつながりは誰にでも分かる)。何となく消化不良感があったので、ネット書評などで調べてみると、「残りの1編もこうしてつながっているのではないか」という推測が書かれており、「なるほど!確かにそれだと辻褄が合うな・・・」とうならされた。伏線をはりまくっているのに最後は不親切にぶん投げているような内容なので、読むに人にとっては残尿感が残るような本であるが、恐らく傑作なのであろう。ただ、傑作だとは思うが、レイプシーンが多すぎで(何人レイプされてんねん)、全体的に暗いトーンの物語なので女性にはすすめないほうがよいかも。



書名・ウォーターゲーム
作者・吉田修一
出版社・幻冬舎文庫
評価・6点

エージェント鷹野一彦が活躍するシリーズ3作目(前2作は太陽は動かないと森は知っている)。正直吉田修一らしさはない普通のスパイもののエンタメ小説。そこそこ面白いし、あまりクセもなくさくっと読めるのだが、このシリーズは「吉田修一を堪能しよう」と思っている人向きではない。なお、鷹野シリーズはとりあえずこれで完結らしい。



書名・飛田残月
作者・黒岩重吾
出版社・ちくま文庫
評価・5点

80年代の小説。飛田ホテル、西成山王ホテルに続いて復刊。前2作の出来がかなり良かったので大いに期待していたが、少し期待外れ。内容自体が悪いわけではないが、前2作は飛田界隈を中心とする大阪の下町でどうしようもない日常を送る男女を活写していたが、本作の短編の過半は飛田から離れてしまった。個々の内容自体は悪くないが全体の統一感が薄れてしまった印象。





書名・エイティーズ ある80年代の物語
作者・橘玲
出版社・幻冬舎文庫
評価・5点

ベストセラー作家(評論家)でもある橘さんの自伝的小説。高校時代から東京での大学時代、若き編集者時代などが書かれる。橘さんの著作は何冊か読んだことがあるが、あまり背景がはっきりしない感じで、「この人どっから出てきたんや?」と疑問であったが、そのあたりは氷解した。橘さんに興味のある人であれば読んで損はなかろう。



書名・東京の優しい掟
作者・佐藤大輔
出版社・徳間文庫
評価・6点

皮肉と諧謔と比喩に満ちた上質なスパイ(諜報)小説。畜生め!



書名・テロリストのパラソル
作者・藤原伊織
出版社・文春文庫
評価・7点

乱歩賞と直木賞を同時受賞した作品ながら福田和也の「作家の値うち」では「すみからすみまで自意識過剰に由来する妄想の産物」とディスられまくり29点(100点満点)をつけられた。まあ確かに福田氏の評価の通りではあるのだが、文章が良くリーダビリティの高い作品で主人公のとぼけたキャラ(都合のよいキャラとも言う)も嫌いではないので、私としては結構好きかな。



書名・もしも、私があなただったら
作者・白石一文
出版社・文春文庫
評価・5点

大企業を辞め、故郷の福岡でバー(閑古鳥なきまくり)を営む藤川啓吾の前に、かつての同僚の妻・美奈があらわれる。40代の中年男女の恋愛小説。「もしも、私があなただったら、こんな私のこと置いていったり絶対しない」。そんなに長くないので読みやすい。



書名・不自由な心
作者・白石一文
出版社・角川文庫
評価・6点

白石さんの初期短編・中編集。登場人物がだいたい皆不倫をしている。これは実体験なのだろうか(笑)そこそこ読ませるのだが、とりあえず不倫ばかりである。