ホーム>でぶぶの読んだ本考察>2020年11月・12月に読んだ本(2020年12月31日更新)



でぶぶの読んだ本考察|2020年11月・12月に!読破!した本


「でぶぶの読んだ本考察」は本サイト管理人でぶぶの小学生の読書感想文以下のテキトーな考察です!独断と偏見で読んだ本を評価(10点満点)までしちゃうよ!ちょっと辛口かもしれません・・・

※「ネタバレ」があるかもです!「ネタバレ」が絶対に嫌な方はこれ以上読み進めないように!



書名・ 盤上の向日葵 上下
作者・柚月裕子
出版社・中公文庫
評価・5点

初柚月さん。けっこう売れっ子さんだが今まで読みそびれてきた作家さん。今回は将棋モノということで購入してみた。上巻はほぼほぼ駒(将棋の駒が事件に絡んでいる)に関する地道な捜査、下巻は将棋パートである。上巻は途中で疲れて離脱しそうにもなったがさすがに読みやすい文章だったので何とか読了、下巻の将棋パートは一気に読ませる内容ではあったのだが何となく既視感があった。全体としては「丁寧で悪くはないが、凄く他の作品を読みたくなるわけではない」という感じである。



書名・ミステリークロック
作者・貴志祐介
出版社・角川文庫
評価・5点

防犯探偵榎本シリーズの中編2編が収録されている。「ゆるやかな自殺」がヤクザものなのだが、このような(アホな)密室トリックをよう考えたなぁという作品。アホwすぎるが「そんな手もあるのね」という感じである。ミステリークロックは非常に凝ったトリックで、何がトリックに使われたのかは早い段階で分かる構成になっているのだが、トリックにおける具体的な使用方法は非常にややこしい(正直途中で理解を放棄した方が多いかと思われる 笑)。何となく摩耶雄嵩のミステリーを彷彿させるぞ・・・。



書名・コロッサスの鉤爪
作者・貴志祐介
出版社・角川文庫
評価・5点

防犯探偵榎本シリーズの中編2編が収録されている。「鏡の国の殺人」は映像映えしそうな内容であるものの、トリックは難解で(私には)文章で理解するのは困難。「コロッサスの鉤爪」は比較的一般受けしそうな内容(私は一般人なので好きだ)だがトリックは、「まあそれ使えば何でもありよね」という感じ。単行本の時は上記の「ミステリークロック」と1冊にまとめられていたが、文庫化にあたって分冊。ただでさえ文庫の値段が上がっているのに分冊したのを2冊買ったら単行本買うのとそんなに変わらんじゃないかっ!硝子のハンマーが1冊なわけだから、この2冊も1冊の文庫本でOKだろうに!と昨今の分冊化傾向に一言物申しておく。



書名・友達以上探偵未満
作者・麻耶雄嵩
出版社・角川文庫
評価・3点

(個人的には)麻耶さんの作品の中ではハズレ。女子高生探偵コンビが活躍する短編3つで、トリックの内容は悪くないと思うのだが、ノリや内容が軽すぎる(麻耶さんらしい毒もあまりない)。表紙のイラスト通りライトノベルっぽい。麻耶さんがあえてそのノリでやる必要はないと思うのだが・・・。





書名・愛国商売
作者・古谷経衡
出版社・小学館文庫
評価・6点

昨今の右翼業界(主に出版・放送)を皮肉たっぷりにこきおろす怪作(ブラックユーモアというやつか?)。登場人物がろくでもない奴ばかりで非常にうける。主人公(古谷さん本人がモデルぽい)もたいがいろくでもないのだが、周囲がそれ以上にヤバい奴らばかりなので、ろくでもない主人公を応援したくなるという・・・(笑)この業界に多少なりとも関心(興味)のある人間にとっては面白い本だと思う(私は楽しめた・・・)。



書名・光のない海
作者・白石一文
出版社・集英社文庫
評価・6点

それなりの規模の会社の社長である高梨修一郎、一見成功者である高梨だが深い孤独の中にある。具体的な内容に関しては上手く説明するのが難しいが「光のない海」というタイトルがすとんと落ちる感じである。また、分量的にもちょうどよいくらいの長さである。



書名・一億円のさようなら
作者・白石一文
出版社・徳間文庫
評価・6点

700ページ近いぶっとい文庫本。主人公・加納鉄平は妻の夏代が巨額の遺産を相続して封印していたことを知る(その額48億円、隠し続けて20年以上)。エンタメ寄りであるが結局はいつもの白石一文である。それなりに読めるが結構脈絡がない感じで、物語として締まりがないところも。個人的には、金沢の波江さんの扱いが結構ひどい気がする(笑)



書名・鎮魂歌
作者・馳星周
出版社・角川文庫
評価・5点

レクイエム。不夜城の続編。不夜城の劉健一は登場するが主人公というより脇役(重要な役ではあるが)元警官の滝沢と若き美貌の殺しや秋生(チユション)が主人公的な役割を担う。ただ、内容は相変わらず裏切り・謀略・セックス・暴力・殺し合いである(笑)



書名・長恨歌
作者・馳星周
出版社・角川文庫
評価・5点

ちょうごんか。不夜城の第3巻という感じ。前作鎮魂歌からそれなりの年月が過ぎ去った歌舞伎町が舞台。今作も劉健一は主人公というよりは重要な脇役で、主人公(物語の道化回し)は歌舞伎町の黒社会で生きる残留孤児2世の武基裕。劉健一は限りなく暗いし、武基裕もさして魅力的な人物ではない。3作連続で読むとさすがに食傷気味である。しかし、本当に歌舞伎町はこんなろくでもない中国人ばかりなのだろうか(笑)というか歌舞伎町がヤバすぎて現代日本には見えない(笑)



書名・パレード
作者・吉田修一
出版社・幻冬舎文庫
評価・7点

再読。東京都内の2LDKのマンションで同居(ルームシェア?)する良介(大学生)、琴美(プー)、未来(店長)、直輝(会社員)そしてサトル(男娼)。一見緩く怠惰に見える同居生活に仄かに漂う不穏さ・・・5人それぞれの視点から物語がつづられる。 吉田さんの初期作品。吉田作品の中では、内容、分量ともに特にとっつきやすい作品だと思う。登場人物がそれぞれ魅力的で、東京でこんな生活を送ってみたいなあ、と思わせる(基本怠惰な生活だが・・・笑)。



書名・証言 羽生世代
作者・大川慎太郎
出版社・講談社現代新書
評価・7点

藤井聡太をはじめ若き世代の台頭により、長年将棋界を席巻していた羽生世代はトップ棋士たちの座から凋落しつつある。そんな時だからこそのインタビュー集と言えよう。「羽生世代の突き上げをくらった谷川ら上の世代」「同時代に生きたら藤井や先崎」「世代交代に挑み時には勝ち、時には敗れた渡辺、久保、深浦ら次なる世代」「佐藤、郷田、森内そして羽生ら羽生世代の中心人物」それぞれの世代への丁寧なインタビューは読み応え十分である。将棋界に多少なりとも興味がある人物であれば必読と言えよう。