ホーム>でぶぶの読んだ本考察>2021年11月・12月に読んだ本(2022年1月21日更新)



でぶぶの読んだ本考察|2021年11月・12月に!読破!した本


「でぶぶの読んだ本考察」は本サイト管理人でぶぶの小学生の読書感想文以下のテキトーな考察です!独断と偏見で読んだ本を評価(10点満点)までしちゃうよ!ちょっと辛口かもしれません・・・。最近は殊能将之さんにはまって「美濃牛」「黒い仏」に続いて「鏡の中は日曜日」と「キマイラの新しい城」を読みましたね。見方によってはバカミスとも言えるのかもしれませんが、この作家さんの本は中毒性があります、寡作で亡くなられたのが残念ですね。なお、今回はあまり「当たり」がなかった印象です。三秋さん、荻原さん、小前さん、桜木さんとかは結構好きな作家なのですが、今回読んだどの作品も「そこまで」という感じでしたね。後やっぱり私の本を読むパワーが落ちていますね。

※「ネタバレ」があるかもです!「ネタバレ」が絶対に嫌な方はこれ以上読み進めないように!



書名・ 君の話
作者・三秋鎚
出版社・ハヤカワ文庫
評価・5点

今まではメディアワークス文庫という若者向けのレーベルで作品を発表していた三秋さんがハヤカワという老舗デビューを果たしたので期待しながら買ったが、そこにいたのは今までの三秋さんとそんなに変わらなかった。相変わらず孤独な青年や少女が登場する切ない感じの物語である。相変わらず乙一や村上春樹っぽい文章である。別にそれらが悪いわけではないのだが、(若手作家では筆力があるほうだと思うので)たまにはひと味違った作品を読みたい気もする。



書名・ロートレック荘事件
作者・筒井康隆
出版社・新潮文庫
評価・6点

夏の終わりに、山間の洋館で起きる連続殺人事件・・・筒井さんには珍しいミステリーである。私は叙述トリックと承知の上で、しかも同種のトリックの小説を読んだこともあったので何となく真相には気づけたが、同種のトリックを初見であれば作者の罠にはまる可能性大。200ページ強と気合いを入れずとも読める分量もグッドである。



書名・きみは誤解している
作者・佐藤正午
出版社・小学館文庫
評価・6点

短編集。競輪にまつわる短編集ということで読むのが後回しになっていたが(私は競輪に興味がない)、読んでみると流石の佐藤正午であった。競輪にまつわる話と言っても競輪選手が主役ではなく、あくまで競輪場に集う市井の人々が主役である。



書名・マチネの終わりに
作者・平野啓一郎
出版社・文春文庫
評価・3点

主人公の男は世界的に有名なクラシックギタリスト、ヒロインは有名映画監督を父に持つハーフで容姿端麗で五カ国語を話すジャーナリストという蕁麻疹が出てきそうな設定である。わてのような庶民向けの小説ではなく「教養溢れる東京のマダムが暇つぶしに読むのにちょうど良い話」という感じである。



書名・それでも空は青い
作者・荻原浩
出版社・角川文庫
評価・4点

短編集。「スピードキング」野球モノ。普通の内容だが最後は好きかな。「妖精たちの時間」30代後半、高校時代の同窓会。まあまあ好き。「あなたによく似た機械」SFちっくな内容。結末は想像しやすい。「僕と彼女と牛男のレシピ」牛男は牛男ではなかった・・・「君を守るために」荻原さんぽい作品。主人公の菜緒のキャラは結構好き。「ダブルトラブルギャンブル」双子もの。ありがちか・・・「人生はパイナップル」野球もの。全体的に普通な感じ。昔読んだ短編集に比べると勢いが落ちている気がする。





書名・鏡の中は日曜日
作者・殊能将之
出版社・講談社文庫
評価・7点

石動戯作シリーズ第3作。参考文献に綾辻氏の館シリーズがあげられていることからもうかがえるが、本格ミステリへのオマージュと遊び心に満ちた怪作。変な構造の館有、謎の挿話あり、作中作あり、密室状態での殺人あり、叙述トリックありと何でもござれ。真面目な小説なのかバカミスなのか本格ミステリ小説なのか微妙な所ではあるがミステリ好きであれば読んで損はないだろう。



書名・キマイラの新しい城
作者・殊能将之
出版社・講談社文庫
評価・7点

石動戯作シリーズ第4作。2つの密室殺人が起きるがこれはもはやミステリ小説と言っていいのやらどうやら(笑)基本的に石動のパートと稲妻卿のパートが交互に語られるが、どっちかと言うと稲妻卿のパートが好き(大オーミ・小オーミ・トキオーンって・・・うける(笑))作者が圧倒的な教養をもとに読みやすいミステリもどきなクソ小説(←私的にはほめてる)を書いた、という感じであろうか(笑)



書名・ノースライト
作者・横山秀夫
出版社・新潮文庫
評価・3点

期待が大きかっただけに採点が低くなった。名手・横山さんの久しぶりの新作で、帯に「横山作品史上最も美しい謎」とあり、椅子の表紙もよい感じ。期待がいやがおうにも高まったが中身は横山さんらしからぬリーダビリティの低い凡作であった。謎もそこまで美しいと思わないし、昭和チックな大団円(大団円でもないか)・・・昔みたいなキレッキレの横山作品が読みたい・・・。



書名・ヌルハチ 朔北の将星
作者・小前亮
出版社・講談社
評価・4点

小前さんは優れた作家さんだとは思わないが本が出ると買ってしまうことが多い。何故かと言うと小前さんの中国歴史小説は取り上げる題材がマニアックだからである。今回はヌルハチ(笑)今後もヌルハチを主人公にする日本人作家はいないと思うので、貴重な一作である。内容は・・・相変わらず毒にも薬にもならないような無難で普通な感じであった・・・



書名・光まで5分
作者・桜木紫乃
出版社・光文社文庫
評価・3点

珍しく舞台は沖縄。ただ、この作家がハートフルな物語を書くわけはなく、主人公のツキヨは北海道から流れてきて沖縄のちょんの間らしき場所で身体を売る30代後半の女性である。明るい沖縄が舞台ゆえいつもの北海道が舞台の物語に比べれば幾分明るさを感じるが、その明るさの分だけこの作家の味が薄まっているような気がするのだ。



書名・極夜行
作者・角幡唯介
出版社・文春文庫
評価・6点

探検家で作家でもある著者が「生涯に一度できるかどうかの冒険」「最高傑作」と自賛する旅であり作品。太陽の全く昇らない冬の北極圏を犬1匹と旅するという一般人には理解しがたい内容である。著者の冒険は地理的冒険(著者の言う表面的未知を探る旅)ではなく、根源的未知というより内面的なもの?にすでにシフトしており、単純に「目的地についた!」「未知の何かを見つけた!」「初登頂!」という冒険ではないためなかなかに分かりにくい。今回の冒険でも目的地らしきものはあるものの、目的地に行くこと自体が目的ではないため(特に著者の作品にはじめて触れる方は)いささか分かりにくい。とてつもなく凄いことをやっているのだが、その凄さが分かりにくいのである・・・。読む価値はある本だが、なかなか読むのに気合が必要な本だとも思う(8点くらいの本である気もするのだが、単純な面白さだと6点という感じである)。