ホーム>でぶぶの読んだ本考察>2022年1月・2月に読んだ本(2022年3月22日更新)



でぶぶの読んだ本考察|2022年1月・2月に!読破!した本


「でぶぶの読んだ本考察」は本サイト管理人でぶぶの小学生の読書感想文以下のテキトーな考察です!独断と偏見で読んだ本を評価(10点満点)までしちゃうよ!ちょっと辛口かもしれません・・・。今月は昔読んだ島田荘司氏や殊能将之氏の名作を再読したり、何冊かルポを読んだりという感じですね。実は年末くらいから西村賢太再読期間ということで古本で西村賢太本を大量購入して読んでいたのですが、ちょうど再読期間中に西村賢太氏が亡くなられてびっくりしましたね・・・。西村賢太氏の本については独立したページでまとめれたら・・・と思います(果たしてまとめる時間があるだろうか・・・)。

※「ネタバレ」があるかもです!「ネタバレ」が絶対に嫌な方はこれ以上読み進めないように!



書名・ 5
作者・佐藤正午 
出版社・角川文庫
評価・5点

700ページ近いぶっとい文庫本。映画化された「鳩の撃退法」に登場する作家・津田伸一が主人公。非常に内容が説明しにくい本で裏表紙の「洗練された筆致と息をつかせぬリーダビリティで綴られる、交錯した人間模様。愛の心理と幻想を描いた、大傑作長編」というのは褒めすぎだと思うのだが、単に「クズ作家津田伸一の女まみれのただれた日常」と言い切ってしまうのも何となくはばかりがある雰囲気を醸し出している気もする。必ず冷めるもののことをスープと呼び愛と呼ぶ・・・まぁあんまり人にすすめる本ではないかと思う(笑)



書名・異邦の騎士
作者・島田荘司
出版社・講談社文庫
評価・7点

再読。御手洗潔シリーズ。御手洗潔最初の事件を描いたファンから評価が高い一作。10代に読んだときの評価なら9点だったが、中年になってから再読すると内容の粗さ、青臭さについていけない部分もある(それでも7点をつけたが)。ただ、御手洗シリーズの中では欠かせない一作でこの一作があるがゆえに御手洗潔が単なる奇人でなく血の通った人物と感じられるようにも思う。本格ミステリー作家でなく島田荘司のロマンチストとしての面が炸裂した作品で10代後半から20代前半くらいに読むと強く心が揺さぶられる作品だと思う。



書名・ハサミ男
作者・殊能将之
出版社・小学館文庫
評価・8点

再読。殊能氏のデビュー作にして最高傑作(恐らく氏の作品で最も売れた作品。キマイラや鏡の中も傑作と言えるかもしれないがかなりの変化球なので、氏の作品で一作挙げよとなればやはり本作となろう)。メイントリック?そのものはミステリーの玄人からすれば予測のつくものかもしれないが、たとえトリックが予測がついたとしても(知っていたとしても)読ませるだけの筆力と技巧はなかなかのものである。また、ミステリー初心者はそのインパクト大のトリック?に衝撃を受けミステリーにはまるきっかけになるかもしれない(私は、10代に本作をはじめて読んだが、ミステリー小説ってこんなこともできるねんなぁ!と衝撃を受けたものである)。



書名・子どもの王様
作者・殊能将之
出版社・講談社文庫
評価・4点

ハサミ男の殊能氏の作品。子ども向けレーベルで出版されていたのが文庫本に入った。あくまで元が子ども向けレーベルなので氏の他作のようなひねくれたミステリーではない。団地にあらわれる「子どもの王様」の謎に小学生が迫っていく内容なのだが、(我々)大人読者からすれば正体は容易に推測できる(推理力ゆえではなく大人になるまでに色々見て経験したがゆえに推測できる、という感じか)、しかし本来の読者層の小学校高学年あたりが読んだ場合には(子どもゆえに)推測が容易でない、というのがこの本のポイント(特色)だろうか。しかし、講談社のミステリーランドは子ども向けと銘打ちながら子どもに読ませられへん作品ばっかやんけ!(麻耶雄嵩の神様ゲームは、あかん内容やったし)



書名・本屋、はじめました 新刊書店Title開業の記録
作者・辻山良雄
出版社・苦楽堂
評価・7点

元リブロの店長が荻窪に新刊書店を開くまでの記録。近年においては個人が新刊書店を開業するというのはほとんど聞くことがなく、非常に珍しい記録かと思う(個人の古本屋開業はかなり多い)。(本屋業界で)これほどの経験がある人が、ここまで準備して、ネットでも宣伝して、イベントも行って、カフェも併設して「やって食っていける」というところに書店業界の厳しさを感じる。間違っても「儲けたろう」と思ってはじめる仕事ではないだろう。







書名・パパ活女子
作者・中村淳彦
出版社・幻冬舎新書
評価・6点

パパ活という明確に定義されていない事象を「女子たちが没頭するパパ活とは何か?」「パパ活の模範として機能する交際クラブ」「パパ活男性をうんざりさせる茶飯女子」「パパ活サイトの女性会員は31パーセントが女子学生」「日本社会からこぼれ落ちる中年パパ活女子」など俯瞰的に見渡しながら、読みやすさ(中村氏はインタビューの名手で、各章によくまとめられたインタビューが挿入される)や多少のゲスさも兼備している良書?である。



書名・ルポ百田尚樹現象 愛国ポピュリズムの現在地
作者・石戸諭
出版社・小学館
評価・7点

一躍右側論壇のヒーローとなった百田尚樹を(多分)左寄りのルポライターが追うという興味深いルポルタージュ。ベストセラー作家とはいえ一作家であった百田がなぜ右側論壇の代表的(とされる)人物になったのか?また、現在の右側論壇の源流となった新しい教科書を作る会運動をもふり返る。著者は百田・見城(幻冬舎社長)・小林よしのり・西尾・藤岡などにインタビューもしており、現在の右側論壇や左右のつばぜり合いに多少なりとも興味がある人物であれば面白く読める内容である。ちなみに私は百田氏の小説は大好きだがツイッターでの暴言?に関しては「う〜ん・・・」という感じである。



書名・スウェーデン館の謎
作者・有栖川有栖
出版社・講談社文庫
評価・5点

作家有栖と臨床犯罪学者火村の国名シリーズ第二弾。裏磐梯のスウェーデン館で雪中の密室殺人事件という典型的なミステリーである。一発モノの密室トリックに支えられているが個人的にはロジックは理解できてもトリックそのもに関する納得度は低い。佳作と言ったところであろうか。



書名・奇跡の六番勝負 サラリーマンがプロ棋士になった日  
作者・古田靖
出版社・河出文庫
評価・7点

将棋のプロ棋士になる道は基本的には一つだけで、奨励会(プロ棋士を養成する会)の3段リーグのリーグ戦を突破することである。本書はそれ以外の道からプロ棋士になった瀬川晶司のプロ挑戦ドキュメントである。瀬川のプロ入りは当時ニュースになったし、私も知っていたがその詳細については知らなかった。この本は瀬川本人以外にも瀬川のプロ入りを押し進めたアマチュア関係者や将棋連盟内部の葛藤にも多くのページを割いており興味深い。将棋界に興味のある人にはおすすめである。