ホーム>でぶぶの読んだ本考察>2022年5月・6月に読んだ本(2022年6月29日更新)



でぶぶの読んだ本考察|2022年5月・6月に!読破!した本


「でぶぶの読んだ本考察」は本サイト管理人でぶぶの小学生の読書感想文以下のテキトーな考察です!独断と偏見で読んだ本を評価(10点満点)までしちゃうよ!ちょっと辛口かもしれません・・・。今月も読書量が減少気味。今村翔吾が意外と面白かった・・・。

※「ネタバレ」があるかもです!「ネタバレ」が絶対に嫌な方はこれ以上読み進めないように!



書名・ 高架線
作者・滝口悠生 
出版社・講談社文庫
評価・6点

久しぶりに知らん作家を新刊で買ってみた。池袋近くの超ボロアパートに住む住民たちの模様的な群像劇なのだが語り口がなかなか面白く、当たりの部類である。もう一作くらい滝口氏の本を読んでみたい気もする。



書名・幸村を討て
作者・今村翔吾
出版社・中央公論社
評価・7点

直木賞受賞直後に出てたぶっとい本。松永久秀を描いた「じんかん」は、高い前評判とはうらはらに全く面白くなかったので、当分今村氏の本を買う予定はなかったのだが、大好きな真田幸村が題材で、しかも少しひねったぽい内容ということであれば買わねばなるまい。読んでみるとなかなかに面白い。家康をはじめ様々な視点からの幸村が描かれるのだが、(史実としては)ありえないだろうが興味深い内容の連続であった。本格派だが多少ミステリー色もあり読んで満足の一冊である。



書名・八本目の槍
作者・今村翔吾
出版社・新潮文庫
評価・8点

幸村を読んだ直後というちょうど良いタイミングで文庫化され、しかも私の好きな石田三成が主人公ということでこれは買わずにはいられまい。主人公は石田三成なのだが、三成の視点は一切なく、賤ヶ岳七本槍(加藤清正とか福島正則とか)それぞれの視点で三成が描かれる。三成と七本槍以外のキャラが意図的に排除されていたり、八人(七本槍+三成)で杉の木を見に行ったり(青春学園小説かよっ!うける)、三成を筆頭に各人がやけに現代人っぽかったり、と「史実とは思いっきりかけ離れているよな」という内容なのだが、物語としてはとても面白かった。私は疑似史実的な司馬遼太郎の小説が大好きなのだが、たまにはこういうのも良いのかもしれない。今後も、今村氏が私の好きな歴史キャラの物語を書いてくれたら購入しようと思う。



書名・我々はみな孤独である
作者・貴志祐介
出版社・ハルキ文庫
評価・6点

文庫で新刊が出たら必ず買う貴志さん。寡作な人だが当たり率は高い(他に必ず買う貫井さんは当たり外れが激しい印象)。本作は不思議な感じの作品であった。考え方としては宗教や哲学などの世界で本作のような内容(説明しづらいけど、前世がうんたらこうたらみたいな感じ)もあるのだろうけど、貴志さんがどうしてこのような作品を書こうと思ったのか謎である。マフィアの拷問シーンはエグくて露悪的で多少コミカルに書かれているが、作品内でも浮き上がっており、貴志さんの個人的な趣味でこういうの好きなんかな、と思う。



書名・永遠の2/1
作者・佐藤正午
出版社・小学館文庫
評価・7点

佐藤正午のデビュー作を久しぶりに再読。自分と同じ顔の男が同じ街にいてそれが原因で色々なトラブルに巻き込まれていくというような感じの内容。著者が20代の時に書いた青春小説のはずなのだが、主人公のひねくれ具合、くどくど達観した感じはまるで中年である(当然文章もまわりくどい(笑))。著者のデビュー作にも関わらず、主人公は仕事を辞めて失業保険をもらいながら競輪場に通い、夜はラジオで野球を聞きながら酒を飲んでいる。好きな人は好き、嫌いな人は嫌いだろうなこの作家は、改めてと思う。「どんなときでもウイスキーは男に味方する」「朝の光を浴びれば、どんなミステリーでも色褪せて見える」







書名・炯眼に候
作者・木下昌輝
出版社・文藝春秋
評価・6点

信長にまつわる短編集。独自?の解釈と読みやすい文章で読ませるのだが(文章や信長像に)今いち凄みが感じられない。主人公たる信長が(現代的な)合理主義者すぎるからだろうか?木下さんはもっと凄い作品を書ける人だと期待しているのだが現状は「読みやすい作家さん」あたりで止まってしまっている。



書名・コンビニ人間
作者・村田沙耶香
出版社・文藝春秋
評価・5点

数年前の芥川賞受賞作を今さら読んでみた。障害というか病気というかを持ったちょっと世間からズレている女性(コンビニ店員36歳)を主人公とする物語。読みやすく一気読みしたが、何が言いたかったのかはよく分からず、何とも言えない読後感。



書名・夏の騎士
作者・百田尚樹
出版社・新潮社
評価・7点

主人公は小学生の健太とその友人たち。まさしく煽り文句の通り百田版スタンド・バイ・ミーである。(ネット上で)大阪の居酒屋のおっちゃんばりのカスい言動の多い百田氏だが相変わらずエンタメ作家としての腕前は極上である。「今さら小学生のお話なんて」と思っていたし、さらにはストーリーも見え見えなのだが、一気に読ませる力と後味の良さはさすがの一言で「ええ本やったな」と思ってしまう。