でぶぶの読んだ本考察|2017年11月
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でぶぶの読んだ本考察|2017年11月に!読破!した本
「でぶぶの読んだ本考察」は本サイト管理人でぶぶの小学生の読書感想文以下のテキトーな考察です!独断と偏見で読んだ本を評価(10点満点)までしちゃうよ!ちょっと辛口かもしれません・・・
※「ネタバレ」があるかもです!「ネタバレ」が絶対に嫌な方はこれ以上読み進めないように!
書名・ソラニン(マンガ)
作者・浅野いにお
出版社・小学館
評価・8点
10年前の漫画の新装版(2冊を1冊にまとめている)。10年前のものも持っているのだが、非常に好きな作品であること、登場人物たちの後日譚が追加されているということなどから購入。天才漫画家・浅野いにおの第一期の終わりを飾る作品であり(この次はメンヘラ鬱大長編漫画のおやすみプンプン・・・まぁプンプンも好きだけどね)、恐らく最も一般受けする作品である。最近書かれた後日譚の絵の方が明らかに上手いが、私としては10年前の未完成の絵の方が好きだな・・・。そしていつも思うのだがこの人は大長編を書くより、短編や中編(3巻くらいまで)を書くほうが絶対に光るはず。すごく好きな漫画家だけに近年の長編指向は残念でならない。
書名・零落(マンガ)
作者・浅野いにお
出版社・小学館
評価・7点
上記ソラニン新装版と同時発売。1冊モノである。惑う中年漫画家が主人公であるため内容は多少暗いが「現実の世界を舞台にしたもの」「短編・中編」という私が浅野いにおに求めていたものを満たしてくれる内容で満足である。浅野さんはこのラインでいいと思うのだが、早く「デデデ」の連載止めて新しい作品書いてくれないかな・・・。
書名・転生したらヤムチャだった件(マンガ)
作者・ドラゴン画廊・リー
出版社・集英社
評価・7点
ドラゴンボールのスピンオフものである。ドラゴンボール屈指のネタキャラ(ヘタレキャラ)・ヤムチャが主役。偶然に初期ヤムチャに転生してしまった主人公の青年が(ヤムチャ的には)悲惨な未来を回避するために修行を重ね、ついにあの伝説の栽培マン戦が・・・。ヤムチャという絶妙な材料を見事に調理した作品である。また絵もなかなかのもので、鳥山明には当然及ばないとしても、ドラゴンボールスーパーを連載しているとよたろうよりは上の気がする。わずか140ページのしょうもないスピンオフ漫画であるが、青春時代にドラゴンボールに親しんだ大人にとっては何とも嬉しい作品である(逆に言えばかなりネタに走っているためドラゴンボールに興味がなかった人は読んでも面白さは全くわからないであろう)。
書名・化石少女
作者・麻耶雄嵩
出版社・徳間文庫
評価・4点
ミステリー小説界の問題児・麻耶さんの新刊文庫。京都の名門高校で続発する殺人事件に化石マニアの女子高生お嬢様(探偵役)と幼なじみで下僕の後輩男子(ワトソン役)が挑むというちょっと脱力系ミステリである。何ともしまらない展開に「最後どうやって収拾つけんねん?」と思っていたら、「おいっ!」って感じで終わってしまった(笑)よって評価は4点であるが、やはり麻耶さんの小説は何とも言えない中途半端な中毒性がある・・・(点数つけたら低いけどね!)。
書名・夜を賭けて
作者・梁石日
出版社・幻冬舎文庫
評価・7点
20年くらい前の作品。戦争によって灰燼と化したアジア最大の兵器工場・大阪造兵廠跡に忍び込んでくず鉄を盗み出す朝鮮人部落の人々(アパッチ族と呼ばれる)を描く大作。大阪に生まれた在日朝鮮人であるこの作家でしか書けないであろう力強い作品で、(文学としては色々と問題がありそうな気もするが)こういう作品こそ「傑作」という名に相応しいんだなと思う。それと私は大阪の人間なので地理がイメージしやすくて良かったあるね。
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書名・ブルース
作者・桜木紫乃
出版社・文春文庫
評価・5点
夜の釧路の支配者となった一人の男の半生を彼と関わった女たちの視点から描写する短編集。決して凄い傑作だとは思わないが、夜の人もまばらな喫茶店でこの本を読んでいるとこの男の纏う空気に少しやられた。
書名・ハルシオン・ランチ(マンガ)
作者・沙村広明
出版社・講談社
評価・6点
一言で言うと「才能の壮大な無駄遣い」。天才がテキトー且つ好き勝手に書いたらこんなわけのわからん作品になりました、という感じ(面白いと言えば面白いんだけどね・・・)。ストーリーは説明すればするほどわけがわからんことになりそうなので(てかストーリーあるのかこのマンガ)、興味のある方はご一読ください。
書名・七都市物語
作者・田中芳樹
出版社・ハヤカワ文庫
評価・8点
衰えた天才・田中芳樹の30年前の作品(衰えていない時だっ!)。新装版が出版されていたので買ってみたが、やっぱりいいねこの作品。色々あって人類がほとんど滅び、地上に存在するのは七つの都市のみ。その七つの都市間で繰り広げられる戦争、外交、謀略!って感じの作品。全体的に暗くて、登場人物たちも一癖も二癖もあるひねくれ者ばっかり、性悪説万歳!ってなもんなのだが、天才が筆の乗っている時期に書いたもんだからこれがまた面白い。この作品の欠点は尻切れトンボで終わっているところで、銀河英雄伝説に次ぐような壮大な作品になる可能性もあったにも関わらず1巻で終了、これから続編が書かれることもなかろう、という点である(今から書き始めたとしても、今現在の田中氏の筆力では駄作になること間違いなしっ!)。
書名・決戦!大坂城
作者・いろいろ
出版社・講談社文庫
評価・6点
一つの合戦を複数の作家が様々な視点から描く短編の集まり。この本のための書き下ろしで、大御所作家とかでなくどちらかと言えば新進気鋭の歴史作家が参加しているのが売りの本である。視点の対象となっている人物が「淀君」「真田幸村」「近江屋伊三郎」「松平忠直」「水野勝成」「豊臣秀頼」「福島正守」とお馴染みの人物から誰やあんた?って人物まで幅広く取り上げており、それぞれの面白さもなかなかである。この決戦!シリーズは何となく敬遠していたのだが、文庫が発売されたら続刊も買ってしまいそうであう。
書名・デイリー
作者・本多孝好
出版社・角川書店
評価・4点
ちょっと「がっかり」である。薄々は分かっていたのだ・・・本多さんの神通力が年々薄れていることを・・・。昔は説明しにくい謎の心地よさを本多さんの文章から感じたものだが、近年の作品からはその心地よさが薄れている、元来ストーリーが特別面白かったり強いメッセージ性がある作家さんてわけではないから、文章の力が衰えるとごくごく普通の作家さんになってしまう。この作品も決して悪いわけではないが、どうしても「普通の作品だな」と感じてしまう。そろそろ本多さんの作品をハードカバーで購入するのもやめ時かもしれない。ちなみにストーリーは「依頼者が亡くなった時に、その依頼者のPC・タブレットなどに残された隠したい・秘密にしたいデータを消去する仕事に従事する二人の青年の物語で連作短編」てな感じです。
書名・戦国の地政学
作者・乃至政彦
出版社・じっぴコンパクト新書
評価・3点
これも「がっかり」である。なぜがっかりかって、私はこの本の作者が乃至さんだと思って購入したのであるが、よくよく読むと作者ではなく監修者であった。その時点でテンションガタ落ちである。それでも面白ければ良かったのだが、内容も可もなく不可もなくという無難な感じで更に不完全燃焼感が増すばかり・・・。乃至さんの「戦国の陣形」は非常に興味深かったので期待値が高まっていたところだっただけに残念である。乃至さん楽しないで自分で全部書いてね!
書名・Y
作者・佐藤正午
出版社・ハルキ文庫
評価・8点
再読。今年直木賞をとった佐藤さんのかんなり前の作品。古典的名作「リプレイ」へのオマージュ的なタイムスリップものだが、本家に勝るとも劣らぬ面白さで個人的には佐藤氏の作品の中で一番読みやすく面白い作品だと思っている(そこまで佐藤さんの作品読んでるわけじゃないけどね!)。
書名・五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後
作者・三浦英之
出版社・集英社文庫
評価・7点
開高健ノンフィクション賞受賞作。満州国に設置された建国大学に集った日本、朝鮮、中国、モンゴル、ロシアの俊英学生たちの戦後の軌跡を追うノンフィクション。建国大学は特殊な国、激動の時代、様々な民族の学生という多くの矛盾を包括していたため、その卒業生たちは戦後に無数の悲劇喜劇に絡むことになる。この作品はタイトル通り、建国大学の学生生活ではなく、その卒業生たちが極東アジアの戦後をどのように生きたかを直接の取材を通して追っていく。取材が主に2010年以降のためすでに鬼籍に入った卒業生も多く、また共産圏の国に住む卒業生もいるためどうしても内容は断片的なものになってしまう。しかし、卒業生たちが健在であろう最後のタイミングで書かれたこの本は非常に価値が高く、かつ読みやすい(あっという間に読み終わってしまい、少し物足りなく感じたくらいだ)。
書名・北天に楽土あり 最上義光伝
作者・天野純希
出版社・徳間時代小説文庫
評価・6点
若手歴史小説家の天野さんが、戦国好きなら名前は知っているけど、詳細は知らない人が多い山形の謀将・最上義光の生涯を一冊にまとめた。天野さんのよいのは文章が読みやすい点である、あまり知らない人物の話を読むのにはちょうどよいという感じ。信長や秀吉などの有名人物を取り上げた作品ならあまり読もうと思わないけど、今回の最上義光のようなちょっとマイナーな人物を取り上げた作品なら「読んでみよう」と思わせる。中国歴史小説の小前亮さんと同じようなイメージかな。
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